「大会を勝ち残る」という強い気持ち

8月13日、味の素スタジアムで行われた天皇杯ラウンド16、名古屋グランパス対東京ヴェルディの一戦は、真夏の連戦という過酷な状況の中で名古屋が2-1の逆転勝利を収めた。試合後、両監督のコメントにはそれぞれのチームの現状と課題が色濃く表れていた。


名古屋グランパス

長谷川監督は、序盤に先制を許しながらも慌てず狙いを持った形で同点ゴールを奪い、最終的にはPKで逆転できた点を高く評価した。勝因は「この大会を勝ち残る」という選手たちの強い意志だとし、肉体的な疲労を精神力が上回ったと語る。また、この一戦が中2日、中3日の過密日程と酷暑の中で行われたことに触れ、終盤には足をつる選手が続出していたと説明。WBGTが25度未満だったためクーリングブレイクは実施されなかったが、選手生命を守るために基準の緩和や休憩時間の導入を強く求めた。戦術面では、前半は相手が最終ラインに1人を落として4バック化する形に対応し敢えてボールを持たせ、後半から守備の修正を行ってサイドの対応力を上げたとも明かしている。新加入の木村を古巣戦で起用したのは、ポストプレーで体を張れる貴重なタイプであることと、モチベーション面への期待からだったと話した。


東京ヴェルディ

一方、敗れた東京Vの城福監督は、試合内容に強い不満を口にした。特に、試合終盤や数的優位の時間帯に前へ進む姿勢が欠け、バックパスを選んでしまう場面が多かったことを「サッカーの本質」を欠いたプレーと断じ、自らの指導不足が招いた結果だと自己批判した。失点シーンについてはマークの受け渡しミスから永井をフリーにしてしまい、高さで優位に立ちながらクロス処理やセカンドボールへの反応が遅れた点を悔やんだ。

精神力と試合中の修正力で流れを引き寄せた名古屋と、意思統一と決断力の不足で勝負を落とした東京V。両監督の言葉は、そのまま試合の勝敗を分けた要因を物語っていた。


取材:HiroshigeSuzuki/SportsPressJP