スケートは自分との戦い。まずは自分に勝つ。

全日本フィギュア選手権初日の練習後、鍵山選手は現在の心境を語った。

「正直に言うと、フィンランドが終わってから割とメンタルがしんどくて」と振り返った。トレーニングもすぐに取り掛かるのが難しかったが、「他の選手たちは一生懸命頑張っている」と考え、自分のモチベーションを奮い立たせたという。

「今シーズンは自分のやりたい演技がなかなかできなかった。なんでだろうという気持ちの落ち込みもあったけれど、とにかく練習から自分を信じていかないと、本番でも信じきれないと思う」 調整期間ではコーチ陣からフィードバックを受け、「2や3のミスがあったけれど、しっかりと調整してきた」と言う。全日本に向けてのコンディションは万全で、「体調はもうバッチリ。この大会に向けていい準備ができた」と手応えを感じている。ショートプログラムの構成についても触れ、「フリップが最初は合わなくて、2本転んでしまったけど、その後はタイミングとスピードを修正して飛べた。今回はショートにしっかり揃えることを意識していきたい」と意欲を見せる。また、「緊張や不安を抱えながら演技する部分も多かったけれど、今回は強い気持ちで絶対に勝つという思いで臨む」と決意を述べた。


「金メダルはもちろん目指しているけれど、それ以上に自分が納得のいく演技をしたい。その上での金メダルを目指す」と語る鍵山選手。「スケートは自分との戦い。まずは自分自身に勝てるように、落ち着いて頑張りたい」と冷静な姿勢も見せた。試合への重圧については、「逆に考えてしまうと、優勝しなきゃという責務のような重い考え方になってしまう。まずは自分のやるべきことをやる。その結果が良くても悪くても、ついてくると信じて頑張りたい」と語った。練習の取り組みについても「いい時はいい練習ができるが、悪い中でも調子の底上げをしっかりやる。それが本番で強い演技につながると思う」と考え、練習から攻めの姿勢を貫いている。


コーチからは「試合では落ち着いて臨むことが大切」と助言を受けており、その言葉を胸に準備を進めてきた。また、「スケーティングやジャンプだけでなく、全体的に強化してきた」と感じており、他の選手たちの姿勢からも刺激を受けている。「最終グループの空気感は全日本ならでは。これを不安と捉えずに楽しんでいけたらいい」と前向きな意気込みを語った。


取材:Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP