多くの怪我、挫折、紆余曲折を経て、今がある

12月10日、Jリーグアウォーズが開催され、2024シーズンに活躍したJ1リーグの選手たちを表彰した。(J2は19日、J3は20日に開催)。注目の最優秀選手賞(MVP)は、2連覇を果たしたヴィッセル神戸の原動力となった武藤嘉紀が初受賞した。


武藤は2013年にFC東京の特別指定選手でJ1デビューし、翌年に新人最多記録に並ぶ13得点。2015年にはドイツ1部のマインツへ渡り、イングランド、スペインリーグを経て2021年8月に神戸に加入し、今シーズンはチーム最多で自己最多にも並ぶ13得点を刻み、連続優勝に大きく貢献した。


式典でのスピーチでは「華やかな経歴に見えますが、多くの怪我、挫折、紆余曲折を経て、今があると思っています。ヨーロッパでは1年以上ベンチに入ることができず、家を出る時のドアが重く、帰り道に泣きながらMrs. GREEN APPLEさんの曲を大熱唱したことを今で覚えています。しかし逃げ出したくなる経験が僕を人としてもサッカー選手としても強くしてくれたんだと、今では感じられます」と言葉を震わせて語った。


今シーズン、37試合に出場し攻守両面でチームを引っ張った武藤だが、最も印象に残る得点について聞くと第37節柏レイソル戦でのアディショナルタイムでの同点ゴールだと言う。「感情が爆発した」と振り返る。優勝争いが激しさを増す中で最終節に自力優勝を引き寄せた結果となった。


そして式典後の会見では「チーム全員が取られてくれた賞だと思いますし、僕一人ではできないことなので」とチームメイトに感謝し「また気を引き締めて頑張っていきたいと思います」と前を向いた。


32歳の武藤の原動力はチームメイトである2つ上の先輩たちだ。「大迫(勇也)選手、酒井(高徳)選手、山口(蛍)選手は、トレーニングでも私生活でも、すべてをサッカーに捧げています。2つ下の僕が、その姿、その行動を見て奮い立っている。彼らより頑張らなくてはいけないという気持もあるので、彼らの刺激というのはありがたいものだと思っています」と熱い想いを語った。


なお、ベストイレブン他、各賞は下記の通り。優勝した神戸から3名、2位サンフレッチェ広島から2人が選出され、3位町田ゼルビアからの選出はなかった。



▼GK

大迫敬介(サンフレッチェ広島)


▼DF

濃野公人(鹿島アントラーズ)

中谷進之介(ガンバ大阪)

マテウス・トゥーレル(ヴィッセル神戸)

佐々木翔(サンフレッチェ広島)


▼MF

マテウス・サヴィオ(柏レイソル)


▼FW

知念慶(鹿島アントラーズ)

アンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)

宇佐美貴史(ガンバ大阪)

大迫勇也(ヴィッセル神戸)

武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)


■得点王

アンデルソン・ロペス(横浜F・マリノス)


■最優秀ゴール賞

宇佐美貴史(ガンバ大阪)/第33節2024年10月5日G大阪対札幌(パナスタ)90+8分


■ベストヤングプレーヤー賞

DF高井幸大(川崎フロンターレ)


■優勝監督賞】

吉田孝行(ヴィッセル神戸)


■優秀監督賞

ミヒャエル・スキッベ(サンフレッチェ広島)


■フェアプレー賞 高円宮杯 

セレッソ大阪


■フェアプレー賞

セレッソ大阪、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ


■フェアプレー個人賞

GKキム・ジンヒョン(セレッソ大阪)

GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)

DF安西幸輝(鹿島アントラーズ)


■最優秀主審賞

御厨貴文


■最優秀副審賞

西橋勲氏


■最優秀育成クラブ賞

FC東京


■功労選手賞

遠藤保仁、柏木陽介、柴﨑晃誠、林卓人、南雄太、梁勇基、渡邉千真


■功労審判員賞

高山啓義、松尾一

取材:石田達也