高知ユナイテッドSC がJリーグ入りを果たした。7日、ニッパツ三ツ沢競技場で行われたY.S.C.C.横浜との入れ替え戦第2戦で2-0と勝利し見事にJ3リーグ入会を決めた。
気持ちの勝負になると思っていた
キャプテンの小林大智は試合後、「みんなで掴み取った勝利でほっとしている。厳しい試合になることを、みんな感じていたし、そこで気持ちの勝負になると思っていた。ゴール前で体を張ること、相手より走ることが勝負を分けると思ったので、そこで勝てたことが勝因だ」と振り返った。
小林は守備面についても「後ろは声を切らしたらやられると思っていた。全員で声を掛け合った。最後に体を張ることが勝負を分けると考えていたし、勝ちたい気持ちが失点ゼロにつながったと思う」と語り、チームの結束力を強調した。さらに、「リーグ戦でも1-0の試合が多かった。ただこのまま守り切るという気持ちではなく、次の1点が勝負を分けると思っていた。守りながら追加点を獲れたことはプラン通りとなった」と戦術的な自信も見せた。
また「ファン・サポーターがアウェイまで来てくれて素晴らしい雰囲気を作ってくれた。頑張りが実ったと思う」と称えた。
13人、14人に見えるサッカーをコンセプトにしている
試合の流れを作ったのは、開始7分に先制点を決めた新谷聖基だ。「コーナー付近になればクロスをしっかり上げることをチームとして意識していた。小林が信じてクロスを上げてくれたので、自分もタイミング良く信じて中に入り、結果、得点ができた」とゴールの瞬間を語った。
新谷は第1戦の反省も踏まえ、「入れ替え戦の第1戦ではプレスに行けてないシーンもあったので、今回の試合は『前から行こう』とチームで話し合った。そこがハマったと思う」と戦術の修正を説明した。また、「ずっとその舞台を目指してやっているので、しっかり準備して、JFLの時のように、うまくいかない試合が多いかもしれないが、新しい挑戦に向けてチーム一丸となって1つ1つ勝っていきたい」と来シーズンへの決意も語った。新谷は、チームの戦術的な特徴について「監督は13人、14人に見えるサッカーをコンセプトにしているので、それをしっかり見せていけたらと思っている」と語り、チームの特色を強調した。
全部の思いを背負って打ち抜いた
試合終了間際の90+1分に追加点を決めた内田優晟は、20歳の若さながら大きな役割を果たした。「スタメンの選手たちが素晴らしい前半を見せていたので、最後に決定的な一撃を決め、試合を決める思いで。それをするために夏に高知に来たので、全部の思いを背負って打ち抜いた」と力強く語った。
彼は試合中の心境について、「ベンチで足が震えていたが、監督に呼ばれた時には『俺がやる!』と、そういう気持ちで余計に力が増した」と興奮を明かした。内田は、今シーズンの成長について「自分を直ぐに受けいれてくれた。最高のチームでJリーグ参入に向けて、毎日、厳しいトレーニングをしてきた。結果が出ず、個人としても、チームとしても苦しい時期があったからこそ成長することができた」と語った。
また、「入れ替え戦2試合では1アシスト1ゴールという結果を残せたことは、自信につながる。周りの選手のおかげで、良いチームだからこそ結果を出せたと思っている。最高の経験をすることができたし、J3への入会を自分のゴールで決められたことは素直に嬉しい」と喜びを爆発させた。ファン・サポーターへの感謝の念も強く表された。内田は「ファン・サポーターは、自分たちをずっと支え続けてくれた。『ありがとうございます』と伝えたい」と語った。
J3への挑戦と覚悟
小林は今シーズンを総括し、「シーズンを首位で走る時間も長く、そのままの勢いで優勝できると考えていたところもあったが、そう簡単ではなかった。でもリーグ2位は最初の頑張りもあって掴みとったもの。ポジティブな2位で、『このチームで最後に2試合ができる、最後にドラマをもってこれる』と話し合っていたので、それが出せたと思う」と振り返った。
新たな挑戦への意気込みについて、明確な覚悟を示した。「相手はYSさんで僕らが勝つことはできた。JFLの代表として戦った。来シーズンはYSさんの気持ちも背負って戦う。直ぐに降格してはダメだと思うし、サッカー熱を高知に起こせるように、厳しい戦いになると思うが頑張りたい」と語り、J3リーグでの存在感を示す決意を明らかにした。
最後に小林は、「今シーズンと変わらないアグレッシブなプレーを見せ、ファン・サポーターがワクワクする試合と、J3の舞台で挑戦していく姿を見せたい。高知県の皆さんのおかげで熱気が高まっていたし、そのおかげで僕らは成長することができた。高知県人の温かさ、人間の強さを感じたシーズンだった。皆さんのおかげなので感謝しかない」と、高知県民への熱い思いを込めて語った。
取材:石田達也 編集:Nishikawa Tomoyuki
Photo by Suzuki Hiroshige/SportsPressJP
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