「彼らとの出会いそれから過ごした時間が金メダル以上の宝物だった」

デフサッカー男子日本代表は11月25日、東京2025デフリンピックの決勝戦に臨み、トルコ代表と激突した。林滉大が前半6分に同点ゴールを決めたものの、トルコが17分に勝ち越し点を奪い、日本は1-2で惜敗した。試合終盤、パワープレイを展開する中、西大輔の渾身のヘディングシュートがクロスバーを直撃する決定機があったが、ゴールネットを揺らすには至らなかった。日本は惜しくも金メダルには届かなかったものの、男女ともにデフリンピック史上初となる銀メダルを獲得し、新たな歴史を築いた。


デフサッカー男子日本代表の斎藤登監督は、試合を終えてすぐに「率直に一言悔しい。もうそれだけ」と胸の内を明かした。もし内容が「手も足も出ない」ものであれば相手の強さを賞賛するしかないが、今回は「勝利を手にするチャンスがあったので、やはり彼らと共に目標にしてきた金メダルを取りたかった。それができなかったのは本当に悔い」だという。選手たちを送り出す際、監督は常に「とにかく毎回毎回こんな舞台に立てる幸せをしっかりと心にとめてもうとにかく90分間を楽しもう。楽しんだものが1番強いんだ」と言い続けてきた。


メダル獲得という成果を導いた最大の要因について、監督は選手たちの努力と人間性を挙げた。彼らが持っていたのは「もっと強くなりたいという思いの強さ」と「何よりも人としての素直さと吸収力」だった。選手たちは「しっかりとその監督の目を見て顔を見て受け取ってくれたからこその成長でここまでこれた」と監督は語った。


また、試合を応援してくれた人々へ向けては、「悔しいという言葉と、でも、7月から彼らと出会って過ごしてきた時間、そして今日のゲームも本当に胸を張っていいものだと選手たち伝えた」と語った。監督自身にとって、「彼らとの出会いそれから過ごした時間が金メダル以上の宝物だった」と述べた。


今後のデフサッカー界の発展について、監督は「デフサッカーに限らず全てのスポーツはやはり普及が非常に重要で人材がどんどん底辺を広くしてくれないとその上に積み上がっていくピラミッドは高くならない」と述べ、この大会が「世界を目指せる場所があるんだ」と子供たちに認識してもらい、チームを目指してくれることを望むとした。

斎藤監督は、7月から選手と過ごしてきた時間は「金メダル以上の宝物だ」と締めくくり、選手たちと共に掴んだ銀メダルと、これまでの過程に誇りを見せた。