天皇杯準決勝が2025年11月16日、国立競技場で開催され、FC町田ゼルビアが延長戦の末、FC東京を2-0で下し、クラブ史上初のファイナル進出を果たした。1週間前のJ1リーグ第36節でFC東京に敗れていた町田にとって、価値あるリベンジの勝利となった。
町田の黒田剛監督は、前回の敗戦から「同じ相手、同じピッチで2回連続で負けることはこれ以上の屈辱的なことはない」という強い思いを選手たちが共有し、今日のゲームに臨んでくれたと語った。1点を争うシビアな展開になると百も承知で準備し、延長戦やPK戦まで見据え、4日間全てでPK練習を行うなど周到な備えをしてきたことが今日の勝利に繋がった。
試合は互いに譲らず、堅い展開が続き、スコアレスのまま90分を終え、延長戦にもつれ込んだ。均衡が破られたのは延長前半13分(103分)だった。DF昌子源からのロングボールをFWオ・セフンが頭で前方へ繋ぎ、MF林幸多郎が反応した。林は相手DFアレクサンダー・ショルツのマークを受けながらも、GK波多野豪の頭上を越える絶妙なループシュートを右足で決め、先制点を奪取した。これは林のバースデーゴールとなり、指揮官もその「したたかな狙い」を評価した。さらに延長後半4分(109分)には、左サイドのナ・サンホのヒールパスを受けたFW相馬勇紀が鋭く切り込み、マイナスに折り返したボールをオ・セフンが左足で流し込み、勝利を決定づける2点目をもたらした。
この勝利の背景には、町田守備陣の徹底した戦術遂行があった。特に右CBを務めた望月ヘンリー海輝は、FC東京の攻撃陣に完璧に対応し、存在感を示した。黒田監督も、FC東京の前線のドリブラーたちに対し、プラス1を作って守ることをコンセプトとし、「前回のリーグ戦で中央でボールをロストしてカウンターで失点した場面を二度と作らない」というディフェンス陣の合い言葉を遂行した結果が出たと述べた。
一方、敗れたFC東京の松橋力蔵監督は「結果は非常に残念なものになってしまった」と総括した。90分を通して自分たちの流れをなかなか作れない場面が多かったが、相手に対する守備のプレイには満足できる部分もあったとした。しかし、勝敗はやはり「一瞬のチャンス」を町田に奪われてしまった点に尽きると分析。FC東京は最後までゴールを奪えず、0-2の完封負けを喫し、2011年度以来の天皇杯決勝進出は叶わず、今季のタイトル獲得の可能性は消滅した。
黒田監督は、青森山田高校時代、カップ戦の準決勝で負けた記憶が一度もないという自信をもって選手を送り出したとし、決勝に向けて「あくまでファイナルを決めたということに過ぎない」と気を引き締めた。国立競技場で行われる決勝戦では、ファン・サポーターに最高の笑顔を届け、胸に星を一つつけられるよう、クラブの歴史を刻む最高の準備をして臨むと決意を表明した。町田は決勝で前回王者ヴィッセル神戸と対戦する。
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