2025年10月25日、東京・有明で開催中の東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント(WTA500)シングルス準決勝で、東京五輪金メダリストのベリンダ・ベンチッチ(スイス)がソフィア・ケニン(米国)をフルセットの末に下し、10年ぶりの決勝進出を果たした。
「日本でプレーするのは本当に大好き」
試合後の記者会見に登壇したベンチッチは、穏やかな笑顔を見せながら語り出した。「今日の試合、本当に勝てて、そして決勝に進むことができてとても嬉しい。日本でプレーするのは本当に大好きで、こうして10年ぶりに決勝に戻ってこられるなんて、素晴らしい気持ちだ。とてもワクワクしている」ベンチッチにとって今大会はシーズンの「最後から2番目の大会」だという。「残りの力がどれくらいあるかは分からないが、明日の決勝ではそのすべてを出し尽くしたいと思っている」
10年前、当時17歳だったベンチッチはアグニエシュカ・ラドワンスカ(ポーランド)と決勝を戦っている。その時の記憶を問われると、懐かしそうに笑顔を見せた。「もちろん覚えている。当時はまだ経験が少なく、チャンスはほとんどなかったと思う。でも、自分にとってはとても大きな達成感があった。今回の決勝は"リベンジ"というより、ただ自分のベストを尽くしたい気持ちで臨む」
ベンチッチにとって日本は、競技人生の中でも特別な意味を持つ場所だ。「日本は私のプロキャリアのスタート地点でとても印象深い場所。若い頃にITFの大会でプレーして、当時ペトリクア選手と戦ったことを今でも覚えている。あの試合で"自分もこういうレベルで戦いたい"と強く思った。その経験がきっかけで、初めて全豪オープンに出場できた」と語った。
東京五輪以来の来日となった今大会。「日本は私のキャリアの中でずっと大切な存在だ。この12年間を振り返っても、思い出はすべてポジティブなものばかり。キャリアには波があったが、常にベストを尽くしてきたことを誇りに思っている」と語り、落ち着いた口調で自信をのぞかせた。
この日のケニン戦は、2時間を超える激しい打ち合いとなった。ベンチッチは、守りではなく攻めの姿勢を貫いたことが勝利を呼んだと分析した。「今日は自分がずっと走り続けるのは難しいと分かっていた。ケニンはボールをあちこちに散らしてくる選手。守っているだけでは主導権を握れないと思った。だから、チャンスがあればすべてのポイントで思い切って攻めるようにした」
その戦術が功を奏し、初めてケニンに勝利した。「彼女に勝てたのは本当に自信になる。ケニンはとてもトリッキーで、ゾーンに入ると非常に強いプレーヤーだ。そういう相手に勝てたことで、他の課題にも前向きに取り組める自信がついた」
翌日の決勝では、ノスコバと初対戦する。「今はまだ決勝のことは考えていない。まずは準決勝の疲れをしっかり癒やして、明日の朝になってから気持ちを整えたい。正直、ここまで来られるとは思っていなかった。だからこそ、もう1試合できることが本当に嬉しい。フリーな気持ちで、自分のベストテニスを出したい」
Photo:JunkoSato/SportsPressJP
取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
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