マルチナ・ヒンギス “カフェオレで決めよ!”に会場沸く

『東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント2025(東レPPO2025)』は、10月18日から26日まで東京・有明コロシアムと有明テニスの森公園で開催されている。40回記念大会となる今年、22日には元世界女王マルチナ・ヒンギスの特別イベントが行われた。往年のスターの登場に会場は大きな拍手に包まれた。

Photo:JunkoSato/SportsPressJP


Q&Aコーナーでは、観客の質問に笑顔で答える姿が印象的だった。キャリアで最も幸せだった瞬間を問われると、11歳で14歳以下のジュニア世界チャンピオンになった時を挙げた。欧州チャンピオンやジュニアのパリ大会、ウィンブルドン優勝などを経て、オーストラリアン・オープンでウィリアムズ姉妹に2日連続で勝利した瞬間を「最高の思い出」と語った。ヴィーナスとの激闘の翌日に再び勝利し、スコアは6-1、6-1。「もし順番が逆ならリベンジされた」と笑うと、観客から感嘆の声が上がった。


インドのリーンダー・パエスとのミックスダブルスについても触れ、チームから誘われてペアを組んだ経緯を語った。ツアーを離れていた時期で不安もあったが、結果的に全てのグランドスラムで優勝。「体格に恵まれていなくても戦術の相性が完璧だった」と振り返り、「シングルスとは違う化学反応が起きた」と語った。

小さな女の子の「好きな色は何ですか?」という可愛い質問に、思わず笑顔がこぼれた。ヒンギスは、6歳の娘リアがピンクや紫、ターコイズを好む一方、自身は青・白・黒といった落ち着いた色を選ぶと話した。赤は自信を示す時の色だと笑い、「一番安全なのは黒や白ね」と軽やかに答えた。

日本食について聞かれると、ヒンギスは「日本料理は世界で最もヘルシー」と即答。麺類、鉄板焼き、うどん、焼き鳥が特にお気に入りで、「しゃぶしゃぶを食べ損ねたから次は必ず」と話した。味噌汁や「餅」も好きだという。


そして、ひときわ盛り上がったのがグリコのCMの話題。観客が「日本のテレビCM覚えてますか?」と尋ねると、ヒンギスは少し考えてから、突然「カフェオレで決めよ!」と日本語のセリフを披露。まさかの“生再現”に会場は大歓声に包まれた。司会者の「生で聞けましたね!」の声に「ありがとう」と日本語で返すと、客席から再び拍手が起こった。懐かしさとユーモアが溶け合い、会場全体が笑顔に包まれるひと幕となった。


最後に「昔、1対5で試合をしたことがある。ネット前に2人、ベースラインに3人という状況で」と語り、再び笑いを誘った。観客全員が「ありがとう」と声を合わせる中、ヒンギスは「Thank you」と応じてステージを後にした。短い時間ながら、記念大会にふさわしい温かなひとときだった。


取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP