「選手たちがハーモニーを奏でるように連動して動いた結果」

日本、ブラジルに歴史的初勝利

日本代表が、サッカー王国ブラジルを相手に歴史的な勝利を収めた。キリンチャレンジカップ2025での3対2というスコアは、これまで13戦して一度も勝てなかった相手から奪った初の白星であり、日本サッカー史に刻まれる一戦となった。試合前の通算成績は0勝2分け11敗、5得点34失点。長年跳ね返されてきた壁を、ついに打ち破った。

日本は3-4-2-1の布陣で試合に臨み、序盤は圧倒的なボール支配を見せるブラジルに対し、5-4-1の守備ブロックで応戦した。中村敬斗がカットインからシュートを放つなど、少ないチャンスを活かそうとする姿勢を見せたが、前半26分にパウロ・エンリケ、32分にガブリエウ・マルティネッリの得点で0対2と突き放される。前半は完全にブラジルのペースで折り返した。


後半、日本は戦術を大胆に変更。ハイプレスを仕掛け、相手に自由を与えない展開に持ち込むと、流れが一変した。後半7分、南野拓実が前線からのプレッシャーで相手のパスミスを誘発し、奪ったボールを豪快に蹴り込んで1点を返す。この一撃が日本の反撃の狼煙となった。


さらに後半9分、森保監督は久保建英に代えて伊東純也を投入。伊東は右サイドで圧倒的なスピードを見せ、試合の主導権を完全に引き寄せた。後半17分、伊東のクロスに中村敬斗が右足で合わせて同点弾。勢いそのままに、後半26分には伊東のコーナーキックを上田綺世が頭で叩き込み、3対2と逆転に成功した。後半わずか19分間で3ゴールを奪った日本の攻撃力は、ブラジル相手に過去に例のないものだった。


終盤はブラジルの猛攻にさらされたが、日本は組織的な守備と全員のハードワークでゴールを死守。最後まで集中を切らさず、歓喜の瞬間を迎えた。ブラジルはアンチェロッティ監督就任後、初の黒星を喫した。


試合後、森保一監督は「選手もスタッフも、ホームでブラジルに勝つために全員が努力してくれた結果」と語りつつ、「前半はプレッシャーがかからず自分の準備不足もあった」と冷静に振り返った。ハーフタイムでは「強度を上げ、ボール保持者にプレッシャーをかけること」を選手たちに伝えたという。後半の反撃については「選手たちがハーモニーを奏でるように連動して動いた結果」と称賛した。


逆転のきっかけを作った南野拓実は「失うものはもうなかった。前からはめてミスを誘う狙いがハマった」と手応えを口にした。「今日は勝てば歴史に残る試合になると思っていた」とも語り、勝利への執念を見せた。同点弾を決めた中村敬斗は「伊東選手がいいクロスを上げてくれるのは分かっていた。信じて走り込んだ」とチームメイトへの信頼を口にした。試合後は「ブラジルに勝ったことはワールドカップに大きく繋がる」と今後への手応えを語った。

決勝弾を叩き込んだ上田綺世は「特別嬉しいし、意味あるゴールを取れた」と喜びを表現。「勝利は自信になるが、まだ課題はある。ここで満足せずにやっていく」と冷静に前を向いた。

日本代表はこの勝利で、新たなステージに足を踏み入れた。親善試合という枠を超え、世界の頂点を本気で目指す覚悟を証明した一夜となった。