世界1位アルカラスが日本初上陸でいきなり頂点をつかんだ。木下グループ・ジャパン・オープン決勝でフリッツをストレートで下し、堂々の初優勝。「落ち込んだ時期を乗り越え、楽しんでプレーできている」と笑顔で語り、有明に“最強王者”の存在感を示した。
アルカラスは「今日は本当にいい試合だった。第1セットはお互いレベルが高くて苦しかったが、そこでいいテニスを出せたことを誇りに思う」と試合を振り返った。フリッツが第2セットで脚に問題を抱えたことにも触れ、「タフな状況だったと思う」と相手を気遣った。
歴代優勝者には数々の名選手が名を連ねており、「このトロフィーに自分の名前を刻むことができて光栄。伝説的な選手たちと並ぶことができてうれしい」と表情をほころばせた。
今季はタイトル数と記録でキャリア最高のシーズンを送っているが、精神面の成長を強調する。「年初は思うようにいかず、インディアンウェルズやマイアミの敗戦は本当にきつかった。落ち込んだ時期を乗り越え、再び楽しんでテニスができていることが大きい。今は精神的にすごくいい状態にある」と語った。
この日は有明の屋根が閉じられた状態で試合開始となった。「最初に聞いたときはサンフランシスコの試合を思い出したが、結局は自分のプレーに集中するだけ。屋根が開いていようと閉じていようと関係なかった」と淡々と話した。
また、テニス選手としてだけでなく「より良い人間でありたい」と常々語る理由を問われると、「家族やチームから学んでいる。両親はいつまでも両親であり続け、自分に人生の大切なことを教えてくれる存在。成功しても学び続け、人として成長していきたい」と答えた。
初来日の滞在では渋谷のスクランブル交差点も訪問。「朝に行ったので人は少なかったが、とても面白かった。日本は素晴らしい場所。また必ず戻ってきたい」と再訪を約束した。
今後は中国・上海で開幕するマスターズ1000に臨む。過密スケジュールについては「強制的に出場しなければならない大会が多すぎる。身体的にも精神的にも厳しい。将来的にはコンディションを守るために、あえて欠場を選ぶことも考える」と警鐘を鳴らした。
初出場で頂点に立った22歳は、今後も世界のテニス界をけん引していく存在であり続けそうだ。
取材:AtsuhikoNakai/SportsPressJP
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