勝利と得点「いいバランスでできたらベスト」

2025年9月15日、ヨドコウ桜スタジアムで行われたWEリーグ第6節、セレッソ大阪ヤンマーレディース対日テレ・東京ヴェルディベレーザの一戦は、最後にベレーザが 3-2 で突き放し勝利を収めた。激しい攻防が続くなかでひときわ存在感を示したのが山本柚月選手だった。

試合後、山本選手は「点が入ったり入れられたりするバタバタした展開の中で、どちらに転ぶか分からない勝負を最後に掴み取れたことはチームにとって大きい。この勢いを次につなげたい」と振り返った。新監督の下で求められる役割はこれまで以上に広がっている。従来はサイドで起点となり「怖いボールを配する」ことが明確なタスクだったが、今季は中央への侵入やコンビネーションを意識的に取り入れ、プレーの幅を広げている。「数字としての結果はまだ出ていないが、得点に絡むその前の前のプレーはできている」と手応えを語る。

「チームの勝利がまず大前提。その中で自分が活躍できればいい」と、あくまでチーム優先の姿勢。それでも「やっぱり点は欲しい」と得点へのこだわりは持ち続け「いいバランスでできるのが一番ベスト」と理想を描く。

ベレーザには多彩なタレントが揃い、自らがゴールを奪わずとも勝ち切れるチーム力を備える。そうした環境の中で山本選手は「点が取れない時に何もできない選手にならないように」と、自身の引き出しを増やすことを意識する。「幅を広げても際(キワ)の場面で強さを出せなければ怖くない。幅と質の両立を追求したい」と言葉に力を込めた。


持ち味とされるスピードについても「武器というほど速くはない。手段の一つとして考えている」と謙虚に自己分析する。それでも試合終盤に相手を振り切る走力は際立ち、後半でも走り切れる持久力は確かな強みだ。

クロスの精度やFW陣との連携、そしてプレーの幅を広げようとする姿勢は、山本柚月選手が進化の途上にありながら確かな存在感でチームを支え、ベレーザの未来を照らすことを示している。


Photo&TEXT:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP