アメリカに完敗…アウェーで見えた日本代表の現在地

2025年9月9日(現地時間)にアメリカ・オハイオ州コロンバスのLower.comフィールドで行われた日本代表対アメリカ代表の国際親善試合で、森保ジャパンは0−2で完敗した。前線の決定機はわずかに絡むもネットを揺らせず、2戦連続の無得点という結果が攻撃の“質”に関する大きな課題を浮き彫りにした。この夜、フォーメーションの切り替えに一定の手応えは感じたものの、W杯本番へ向けての戦う力を見出すにはなお壁が厚かった一戦だった。


■森保一監督

試合後、森保監督は、まず現地で声援を送ったファンや日本から応援してくれた人たちに「申し訳ない」と口を開いた。その上で、スリーバックとフォーバックの両方を試すプランを立てていたことを明かした。前半を0-0で進めた上でシステム変更する予定だったが、失点を喫したことで流れが変わり、後半から交代を含めてフォーバックに切り替えたという。

ただ、相手がスリーバックを敷いた際に幅を取られると守備対応が難しくなる点は課題として残ったと振り返る。それでも中央での守備の整理ができれば効果的にプレッシャーをかけられる手応えも得ており、両システムを使い分けることが今後の強化につながると語った。

2試合連続で無得点に終わったことについては「応援してくれた方々に勝利も得点も届けられなかったのは悔しい」と率直な思いを口にした。決定機は作れているとしつつも「世界と戦うには攻撃のクオリティをさらに上げなければいけない」とチーム全体での改善を誓った。


■伊藤純也

フル出場した伊藤純也は「難しい試合だった」と振り返った。前半に訪れた決定機を自ら決め切れなかったことを悔やみ、「自分が決めていれば違う展開になった」と言葉を選んだ。

守備がはまらなかった要因については、相手のシャドウやボランチの動きに対応しきれなかった点を挙げる。後半にフォーバックへ移行した場面では、久しぶりにそのシステムで戦ったこともあり守備面での難しさを感じたが、交代で入ったフレッシュな選手たちが攻撃を活性化させた点には手応えを得ていた。

試合前から足の状態が万全ではないと伝えられていたが「今日はフリーでプレーできたし良くなっている」と話し、コンディションをさらに上げていく決意を見せた。


■大迫敬介

ゴールを守った大迫敬介は「2点取られて負けたので悔しい」と率直な言葉を残した。アメリカの印象については空中戦の強さや球際の激しさ、さらに前線からの強烈なプレッシングに苦しめられたと語る。完全アウェイの雰囲気についても「こうした中で勝たないとW杯で優勝を目指すことはできない」と引き締めた。

後半からフォーバックに切り替えたチームを後方から見て、ビルドアップ面ではやりやすさがあったとしながらも、守備のはめ方に関しては改善が必要だと指摘した。

ライバルの鈴木彩艶とのポジション争いについて問われると「日本の守護神になるためにはこういう試合で無失点に抑えて勝たせないと意味がない」と語り、自分のプレーでチームを勝利に導く存在になると力を込めた。


■長友佑都

試合前から足の状態が懸念されていた長友だが、コンディションは問題なかったという。フル出場で、プレーに支障はないことを証明した。前半の失点に直接的に関与してしまったことについて、長友は悔しさをにじませた。このレベルで戦うには、あのような場面で簡単に寄せられてはならないと、自身のパフォーマンスを厳しく評価した。

ワールドカップ優勝という目標を掲げている以上、選手全員が同じレベルで戦えないといけない、と長友はチーム全体の底上げの必要性を訴えた。この試合で試されたスリーバックとフォーバックのシステム変更については、ワールドカップ優勝に向けて必要なことだとした上で、誰がどのポジションで出ても、しっかりとパフォーマンスを発揮しなければいけないと強く語った。メキシコ、アメリカと、完全アウェイの中で戦った2試合。ワールドカップではこのアウェイの雰囲気の中で勝っていかなければならない。メンタル的にもっとタフになる必要があるし、この雰囲気に飲まれていては上にはいけない、と本大会を想定した貴重な経験だったと振り返った。チームがワールドカップ優勝を目指している以上、個人もそのレベルに持っていかないと話にならないと引き締めた。