ワールドカップ本番を見据え北米遠征へ

日本サッカー協会は8月28日、9月に行われる国際親善試合のメンバーを発表した。対戦相手はメキシコとアメリカ。来年に迫るワールドカップ本大会を見据えた重要なテストマッチとなる。会見には山本ナショナルチームダイレクターと森保一監督が出席し、遠征の狙いやメンバー選考の意図を語った。

今回の遠征は、世界トップクラスとの対戦を通じて日本代表の力を測る場となる。山本ダイレクターは、ワールドカップ予選を終え、本番に向けて世界基準での戦いに挑む絶好の機会だと語る。対戦相手であるメキシコとアメリカはいずれもFIFAランク上位の強豪。これ以上ない準備の場であるとし、選手選考にあたっては100人以上を継続的にチェックしてきたことを明かした。


森保監督も、ワールドカップ開催地であるアメリカで強豪と戦う意義を語った。今回の試合は親善試合ではあるが、勝利を目指して全力で準備するという姿勢は一切変わらないと断言。どんな試合でも日本代表としての誇りを持って戦うことを選手たちに求めた。


アジアの対戦相手と比べ、メキシコやアメリカはプレッシャーの強度が高い。森保監督は特にメキシコについて、オールコートでプレッシングを仕掛け、試合の主導権を握ろうとしてくると分析。一方でアメリカは新体制で選手を試しながらチーム作りを進めており、強度の高い個の力と組織的守備から速攻を狙うスタイルが特徴だという。日本に求められるのは全局面での高い強度と、相手の圧力に屈しないプレーだ。


今回の遠征は試合だけでなく環境面も本番を想定している。西海岸から東海岸への移動、中2日での連戦、3時間の時差という過酷な条件が設定されている。これは、ワールドカップでも起こりうる厳しいスケジュールに選手を慣れさせる狙いがある。移動や食事、コンディション管理の面でも多くの課題を洗い出し、来年に向けて対応策を確立する試みだ。


選手起用については、負担を考慮しながらもより多くの選手に出場機会を与える方針という。これはワールドカップを勝ち抜くために選手層の厚みを増し、総合力を高めるためだ。ディフェンス陣を中心に怪我人が多い中、経験の少ない選手にとっては大きなチャンスとなる。森保監督は、予定通りにはいかなくても現実の中で何ができるかを考え、成長の機会に変えたいと語った。


選手に求めるのは積極的なチャレンジと明確な結果だ。特に攻撃陣にはゴールという数字へのこだわりを求め、国際舞台で勝つための決定力を強化する意図を示した。今回のメンバーはこれまでのコアメンバーに加え、6月や7月の活動で招集した選手も含まれており、テストの意味合いが強い。だが同時に、勝利を譲るつもりはない。


今回の遠征は単なる親善試合ではない。本番さながらの厳しい条件下で、強豪と真剣勝負を繰り広げることで、日本代表はさらなる進化を遂げようとしている。


取材:AtsuhikoNakai/SportsPressJP