2025年8月10日(日)18:00、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて、INAC神戸レオネッサ vs 日テレ・東京ヴェルディベレーザの開幕戦が行われ、INAC神戸レオネッサが2-0で勝利した。
INAC神戸レオネッサの宮本監督は、開幕戦で勝利を収め、その初陣を見事に飾った。宮本監督は、試合開始直後はチームが「すごく硬くて、いつも通りのプレーからはほど遠かった」と振り返りながらも、ハーフタイムでの効果的な修正とチーム内での情報共有がしっかりとできたことが、後半の得点に繋がり、選手たちに心から感謝していると述べた。
この初戦勝利の意義について、宮本監督はINAC神戸がWEリーグ開幕以来ベレーザに負けたことがなかったため、選手たちから「相当なプレッシャーをかけられていた」ことを明かした。しかし、この注目度の高いカードを「自分たちがこれまでやってきたことを見せる最高の舞台」と位置づけ、選手たちがそれをしっかりと表現してくれた結果、チームにとって「かなり大きい」勝利を収めることができたと強調した。得点した成宮唯選手と吉田莉胡選手については、前線でのボールへのプレッシャーとゴールへの推進力という点で、「攻守両面でチームに貢献してくれた」と高く評価している。特に成宮選手の先制ゴールは、GK大熊茜からのロングフィードを受けた愛川陽菜のパスをダイレクトで決めたものであり、吉田莉胡選手も久保田真生のクロスに合わせて移籍後初ゴールを記録した。
試合の修正点として、宮本監督は前半、相手の東京NBが予想以上に前にプレッシャーをかけてきたことで、INAC神戸が少し受け身になってしまったと分析した。しかし、相手の3バックの選手間の間隔が狭く、サイドに大きなスペースがあることを見抜き、ハーフタイムでその良いシーンを映像で見せながら、「どんどん自信を持って(サイドを)突いていこう」と指示したことが奏功した。これにより、選手たちが迷いなくサイドに展開するようになり、サイドからの攻撃回数を増やせたことが、2得点に繋がったと説明している。
宮本監督自身の感情についても深く語られた。成宮選手の得点シーンでは、得点が決まった瞬間に「勝手に体が動いた」と語り、無意識のうちに選手のもとへ駆け寄ったことを明かした。また、先制点の際には雨の中約2400人の観客が来場してくれたことに感謝し、ゴールの喜びを分かち合いたいという思いと、チームが常に共有している「もう1点を取りにいく」という意識を後押ししてもらうために、サポーターに向かってガッツポーズをしたと述べている。クラブチームの監督として初めて指揮を執った90分間は「めっちゃ疲れた」と率直な感想を述べつつも、「楽しい90分」でもあったと振り返った。代表コーチ時代とは異なり、交代選手やタイミングを自分で決める「怖さ」と、勝てた時の「想像以上」の喜びを感じたことも語った。
一方、敗れた日テレ・東京ヴェルディベレーザの楠瀬監督は、結果こそ残念だったものの、試合内容自体は「そんなに悲観はしてない」と評価した。しかし、「決定力」が大きな課題であることを認めつつも、ボールをよく動かし、支配できた時間帯があったことや、交代枠の選手全員が経験を積めたこと、そして小林里歌選手の復帰がチームにとって「非常に大きなニュース」だと前向きに捉えている。
楠瀬監督は、勝利したチームとそうでないチームの差は正直大きいとしつつも、「ネガティブになる必要はない」と語り、ここからがスタートだと強調した。今後の課題として、マークのパスのタイミングや隙を作る部分など、「非常にシビアに詰めていかなければならない部分が随所にあった」と指摘した。チャンピオンを目指すのであれば、ミスしてはいけないところでミスがある現状を厳しく改善していく必要があるとし、優勝争いをしていくには「まだやるべきことがあり、勝ちを重ねていくには少し足りないところもある」と現状を分析している。
個別の選手評価では、新戦力のダネル選手が「日に日に日本のサッカー、うちのサッカーに合ってきている」とし、「シンプルで、勇敢で、勉強家」であり、その真面目さが好感を持てると評価した。先発を勝ち取るほどの存在になったことに「まだまだ伸びしろを感じる」と述べ、得点こそなかったもののチャンスを作れていた点も評価している。塩越選手については、ボールをよく動かし、ミスも少なく、コミュニケーションも良くなっていると評価し、「フィニッシャーとしても成長しなければならない」としつつも、この日は「十分やってくれた」とコメントした。
最後に、リーグ全体のプロモーションについて、楠瀬監督は「まだ足りないのではないか」と感じており、「できることはもっとあるんじゃないか」と提言した。より多くの人にホームゲームの情報を届け、来場を促す必要があるとし、クラブとしてもその努力を強化していきたい意向を示した。
取材:HiroshigeSuzuki/SportsPressJP
0コメント