次はもっとタフになる デ・ラサール大との準決勝へ

第4回ワールド・ユニバーシティ・バスケットボール・シリーズ(WUBS2025)が8月9日から国立代々木競技場第二体育館で開催され、日本学生選抜が初戦を突破した。試合後、西尾ヘッドコーチが勝利の要因と選抜チーム運営について詳しく語った。


ペイント攻略で主導権掌握

西尾ヘッドコーチは戦術面について「サイズも勝っているし、ペイントのところで支配できるという予測をしていたので、思い切ってペイントアタックしなさい、ノーマークになったら迷わずシュート打てということを言っていた。それができたかなと思う」と振り返った。限られた情報の中での相手分析から導き出した戦術が的中し、選手たちも迷いなく実行できたことが勝因となった。


わずか3日間の結束力

選抜チームという特殊な状況での指導について、西尾HCは昨年の経験を活かしたアプローチを説明した。「昨年から2回目でヘッドコーチをさせていただいているので、それぞれの選手のいいところを選ぶ段階でイメージして、来た時にはそのいいところが出るように会話しながら、練習が全然できないのでその会話をしながら選手とコミュニケーションを取りながらプレイをさせることを心がけた」

チーム結束の鍵となったのは、昨年も一緒にプレイした東海大の佐藤友と菅野陸の存在だった。「昨年一緒にやっているからこちら側の意図をすごく理解してくれているので、最初の練習の初日から雰囲気作りができるのかなと思う」と西尾HCは語った。

実質3日間という短い練習期間での快勝について、西尾HCは「ミーティングの時にちょっと緊張しているのかなという選手が何人かいたので、どうなるんだろうって少し不安だったが、これが選抜チームの面白いところで、自チームだったら大体予想がつくが、しっかり入るんだということがわかった」と選抜チーム特有の予測の難しさと面白さを表現した。


デ・ラサール大との準決勝へ

準決勝では昨年の優勝チームであるデ・ラサール大(フィリピン)との対戦が待っている。初戦でデ・ラサール大の試合を観戦した西尾HCは「フィジカルが強いということと、やり続けるというところがものすごく強いなという印象だが、戦えなくはないと感じた。しっかりマインドをセットして、粘り強くゲームできると思う」と分析した。

ただし、より厳しい戦いになることは覚悟している。「今日みたいにプレッシャーをかけたらこちらのリズムになるかもしれないが、相手もそういうわけにはいかない。ファウルを使って止めるところなど、もっとタフになってくると思う。しっかりビデオを見て、選手とコーチの感覚をすり合わせて、また違う戦い方をしないといけない」


将来の代表候補育成という使命

日本学生選抜のメンバー選考について、西尾HCは明確な育成方針を語った。「基本的には1、2年生の中で、アンダーカテゴリーから代表に入っているメンバーやジュニアから目立った選手にチャンスを与えて、これが次にB代表、A代表につながっていくことを意識している。身長の高い低いではなく、より良い可能性のある選手をピックアップしている」

選手たちには最初の集合時に代表への道筋について説明しているという。「『繋がっているよ』ということを話している。網野さんも初日に来てくれて、カナダの代表の隣でやっているので、網野さんからも話をもらっている」


大学バスケにとって貴重な国際経験

4年目を迎えたWUBSの意義について、西尾HCは「国際ゲームが大学生にとって本当に少ないチャンスなので、ものすごく貴重な大会。大学生にとってはなくてはならない大会の1つ」と強調した。

初戦突破の心境については「ほっとしている。これで4強だから、ここで止まらないで勝ってほしい」と率直な気持ちを明かした。

西尾HCは相手の研究よりも自チームの完成度を重視する姿勢も見せた。「相手どうこうという余裕がないので、ある程度のスカウティングはするが、短期間でチームがやってきたことを意識させて、それをどれぐらい出せるかというところに重点を置きたい」


準決勝でのデ・ラサール大戦を前に、西尾HCは「明日もそれに合わせて調整していく」と意気込みを語った。日本勢初優勝への挑戦は続く。

取材:JunkoSato/SportsPressJP