初戦から負けないという強い気持ちでやりたい

2025年8月9日から11日の3日間にかけて国立代々木競技場 第二体育館で開催される「World University Basketball Series 2025」(WUBS 2025)に向け、日本学生選抜チームは8月7日に東洋大学総合スポーツセンターで公開練習を実施した。WUBSは、世界各国からトップレベルの大学男子バスケットボールチームが参戦し、トーナメント方式で優勝を争う国際大会で、今回で4回目を数える。今年はオーストラリア、韓国、チャイニーズ・タイペイ、フィリピン、香港、そして日本から計8チームが出場し、日本からは日本体育大学と日本学生選抜の2チームが参加する。この公開練習後に行われた会見には、日本学生選抜の西尾吉弘チームリーダー兼ヘッドコーチと、佐藤友キャプテンが出席し、大会への意気込みや現在のチーム状況について語った。


佐藤主将、膝のコンディション調整も意気込み十分

佐藤キャプテンは練習中に膝を少し痛めたことを明かしつつ、「大会本番に間に合うよう調整していく」と前向きな姿勢を見せた。選抜チームへの参加は2回目となる佐藤主将。昨年の大会で高麗大学に敗れた悔しさを胸に、「初戦から本当に外国のチームに負けないっていう気持ちでやりたい」と強い決意を表明した。この1年で様々な国際試合を経験し、チーム全体の経験値向上を実感している。個人的な成長については、東海大学入学後の1年間で「ディフェンスの走りの部分をこの1年間で作ってきた」と強調。ボールマンプレッシャーの向上も挙げ、大会でその成果を発揮したい考えを示した。初戦の相手・香港大学については「突出した選手が多いわけではない」と分析する一方、「トランジションの速さを出して戦いたい」と日本の持ち味を活かした戦いを構想。相手エースのカエル選手(リーグMVP)とのマッチアップについては「本当にマッチアップしたい」と積極的な姿勢を見せた。


西尾HC、勝利より成長に重点「次の代表候補の育成が目標」

西尾ヘッドコーチは今大会への抱負について、昨年の悔しさはあるものの、現在の選手たちを「若い世代の次のその代表になる子たち」と位置づけ、勝利だけでなく「どれぐらい成長するのかなっていう方が大きい」と選手育成に重きを置く方針を明確にした。練習を重ねるごとに個々のレベルアップとチームの結束を感じており、「すごく楽しい」と表現。特にフレッシュな選手たちの成長を強く実感している。佐藤選手のコンディションについては、昨日の自主練習での追い込みすぎが原因と説明。「無理すればいけるけど、コンディション調整しないとゲームは難しい」とし、トレーナーと相談しながら「本人の状況を見て無理はさせない方針」を示した。佐藤選手の気持ちの強さを評価する一方、「行かせれば行ってしまうため、コーチ側がうまく見てあげないと怪我につながりかねない」と慎重な姿勢を見せた。

チーム状況と戦術面での取り組み

今年のチームについては「真面目な選手が多く、代表としての意識が高い」と評価し、昨年同様の好感触を得ているという。香港大学の情報については「情報が少ない」としながらも、身長が他チームより低めであること、カエル選手がペリメーターからのシュートで得点してくることなど限られた情報を把握。大会の性質上、「相手対策よりも自分たちのところを確実にする段階」という。「WUBSでは相手の情報収集や対策が限定的になるのは宿命」との認識を示した。戦術面では、スクリメージでピックアンドロールからのゴール下得点パターンが多かったものの、今後の国際戦やユニバーシアード、EASL、ジョーンズカップなどを見据え、「インサイドだけでなく、もう一歩先の練習(例えば3ポイントシュートなど)も昨日から導入している」と明かした。

WUBSの意義と今後への期待

西尾HCはWUBSの狙いについて、日本国内で通用するプレイが海外では通用しないことを選手が「体感して体で感じ」、「次のステップ」への進むきっかけとすることだと説明。それを選手に伝え、レベルアップにつなげていく方針を示した。5回のスクリメージでは勝敗だけでなく、様々な選手の組み合わせや異なるフォーメーション(2ガードやガードなしなど)を試したと振り返り、「選手たちの新たな一面やメンタル面を知ることができた」と手応えを語った。「この短期間でいかに互いを理解できるかがポイント」と述べ、大会への期待を込めて会見を締めくくった。

取材:JunkoSato/SportsPressJP