天皇杯3回戦、京都サンガF.C.対横浜FCの激闘は、京都の「リバウンドメンタリティ」を呼び覚ます劇的な一戦となった。
試合は延長戦にもつれ込み、京都は延長前半に2点を奪われ、苦しい展開となった。特に延長前半に喫した2点目の失点について、曺貴裁監督は「非常にお粗末だった」と厳しく指摘し、「あの時間でああいう失点をしてるようでは間違いなく上に行くことはできない」と語気を強めた。
しかし、この厳しい状況が、チームに眠っていた力を引き出したと監督は捉えている。監督は「あの失点でまた自分たちのリバウンドメンタリティの力が呼び覚まされた」という。「1点追いつける、次5分なら点が取れる」という気持ちが「チーム全体に漂っている」。これは「非常にいいことだ」と監督は語った。
実際に、京都はこの2点ビハインドを跳ね返した。延長後半3分には、MF中野瑠馬がヘッドで1点を返す。中野は、出場に際して「チャンスは来るだろうと思いながらも、与えられたチャンスで何か残さないといけないという危機感を感じていた」といい、自身のゴールが「形になってよかった」と安堵を見せた。曺貴裁監督は中野のパフォーマンスを「パーフェクト」と絶賛し、まだ世に出ていないような選手がポジティブなプレーを見せることでチームは上に行けると述べ、「新しい光が当たった」と表現した。
さらに延長後半14分、左CKからの折り返しを、GK太田岳志がFW顔負けのボレーで叩き込み、劇的な同点弾を決めた。この瞬間、スタジアムは割れんばかりの大歓声に包まれた。GKが同日に2人ゴールを決めるのは非常に珍しく、Jリーグの公式戦では過去に例がない。太田自身は「上がりたかった」と話し、その判断を許可した曺貴裁監督に感謝を述べた。また、太田は「絶対点決めてやるっていう気持ちは持っていって、普段キーパーをしているからこそ、どういう動きをしたら相手が嫌か考えて動いたら、ゴール前にこぼれてきた」とゴールへの執念を明かした。監督は太田のこのゴールを「偶然ではなく、我々チームにとっても必然だった」とし、「普段の努力が出た」結果だと評価。太田はPK戦でも2本のセーブを見せ、攻守にわたり勝利の立役者となった。
曺貴裁監督は、天皇杯がPK戦を含め「勝者しか次のステージに進めない大会」であるとし、今回の勝利を「劇的な勝ち方」と表現した。一方で、理想としては「先制、追加点、ダメ押しで3対0で勝てるようなチームにならないといけない」とも語り、今後の課題も明確に認識している。
対する横浜FC四方田監督は、延長後半に「耐えきれなかった」こと、2点リードしていながら追いつかれたことを「リーグ戦も含めて、終盤のところでの自分たちの課題」とし、この悔しさを「バネに」改善していきたいと語った。
この激戦は、京都サンガにとって粘り強さと諦めない姿勢、そして新戦力や復帰選手の活躍が光る「新しいサンガ」の手応えを掴む一戦となった。
Photo:TomoyukiNishiakwa/SportsPressJP
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