天皇杯2回戦、ガンバ大阪がJFLのヴィアティン三重を2対1で下し、7月16日に行われる3回戦に進んだ。試合後の記者会見では両監督がそれぞれの視点から激戦を振り返った。
ヴィアティン三重の間瀬監督は、J1の強豪と対戦し、チームが一丸となって戦えたことに一定の評価を示した上で、「1対2の敗戦、ただそれだけ」と結果を冷静に受け止めた。間瀬監督はこの舞台を「思い出」や「経験」の場としてではなく、勝利を掴みに来たと明言し、戦う姿勢を貫いていた。最も大きく感じたのは、JFLとJ1の間にある選手としての「差」が、体格やスピードといった視覚的なものではなく、判断力や反応の速さ、つまり「脳」や「神経系」にあるという点だった。ガンバ大阪の選手たちは、こうした見えにくい部分で優れており、その差こそが、今後Jリーグ昇格を目指す三重にとって真に向き合うべき課題だと語った。
試合前の準備についても、特別な対策は取らず、日頃から取り組んできた攻守の原則を大切にする方針だった。1対1では分が悪いと見て、攻撃では数的優位を作り、守備ではカバーリングを徹底するといった基本的な対処で臨んだ。試合内容については恥じるものではないとし、特に守備の遂行度が鍵であるという考えを選手に伝えていた。
試合の中では、後半11分にDF上田のクロスをFW大竹がヘディングで決め、三重が先制に成功した。しかしその直後、ガンバ大阪のDF佐々木に同点ゴールを許し、さらに22分には岸本のクロスからFWヒュメットに逆転を許した。この逆転劇について間瀬監督は、選手たちに就任以来繰り返し伝えてきた得点後のゲーム運びにおいて、「経験」の差が出たと語った。勝利が見えた瞬間の気の緩みと、試合を締める力の不足が、結果的に「経験」として刻まれる形となった。敗戦の悔しさの中で、勝利を感じられる展開だったことが唯一の収穫だったとした上で、この試合で浮き彫りとなった足りない部分に選手一人ひとりが向き合わなければならないという強いメッセージを残した。
一方、勝利を収めたガンバ大阪のダニエル・ポヤトス監督は、この試合を「難しい試合」と表現し、規律の重要性に言及した。ヴィアティン三重を「良いチーム」と認め、勢いとモチベーションの高さが警戒すべき相手であったと分析した。前半はやや不安定な場面もあったが、立て直しながら相手のスタミナを削ぐような展開に持ち込むことができたとし、逆転勝利の要因として規律とチームとしての連動性を挙げた。
前半の内容について問われると、暑さやメンバー変更による影響ではなく、相手チームの若い選手たちの勢いとテンポの良さがあったと述べた。特に天皇杯の1回戦や2回戦は、下位カテゴリーの勢いあるチームとの対戦が難しく、他のJ1クラブが敗れる中で「勝ち抜く」こと自体に大きな意味があったと語った。
今回の試合は、カテゴリーの違い以上に、試合をコントロールする力や状況判断の速さといった目に見えにくい部分の差が如実に現れた内容となった。ヴィアティン三重にとっては敗戦となったが、そこから何を持ち帰るかが次に繋がる。一方のガンバ大阪は、難しい相手に対して冷静さを保ち、規律と経験で勝ち切った。7月16日の3回戦に向けて、一歩を踏み出した。
取材:TomomyukiNishikawa/SportsPressJP
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