メンバーを入れ替ても同じパフォーマンスを発揮できるのが我々の強み

サッカー日本代表は6月10日、大阪・市立吹田サッカースタジアムでFIFAワールドカップ26アジア最終予選(3次予選)インドネシア代表戦に臨む。試合を翌日に控えた公式記者会見には、森保一監督とキャプテン遠藤航が出席し、最終戦への意気込みや試合への展望を語った。

森保監督の展望:ワールドカップを見据えた試み

森保監督は、ワールドカップ予選の最終戦をホームで戦うことに対し、「勝利で締めくくり、サポーターと共に勝利を分かち合いたい」と強調した。さらに、明日の試合を「目の前の1戦に勝利するという目標だけでなく、これからの成長に向けても、みんなでチャレンジできるように選手たちには積極的にプレーしてほしい」と述べ、単なる勝利以上の意味合いを持たせた。


オーストラリア戦での敗戦に触れつつも、今回のインドネシア戦では「いくつかのポジションでメンバー変更して試合に臨みたい」と明かした。その意図は、ワールドカップ出場権を獲得した上で「選手を試す、そして、戦術的な幅を広げる」ことにあるとし、選手間の融合を通じて「チーム成長につながるような新たな試み」を行う考えを示した。最終的なメンバーは今日の練習を見て決めるとした。


怪我で離脱した渡辺選手、町田選手については「非常に残念で、私自身も悔しい思いでいる」と述べ、回復へのサポートを約束した。怪我人が出たことでポジションの人数は減ったものの、「十分スタメンと、プラス、交代枠も含めて、残り試合戦っていけるだけの戦力は、いる」と断言。これを「選手としてはひょっとしたら出場時間が少ないであったり、なくなるかもしれないところを、新たにチャレンジができる」ことはポジティブな機会と捉える姿勢を示した。遠藤キャプテンに関しては、「中盤も、ディフェンスラインも、時には前線でもプレーできる」と語り、複数のポジションをこなせる選手がいることで「不足の事態が起こった場合の、次の手はプランを考えて試合に挑みたい」と柔軟な選手起用を示唆した。


遠藤主将の決意と課題認識

遠藤キャプテンもまた、「最後は皆さんに勝利を届けたいという思いが強い」と勝利への強い意欲を示した。個人パフォーマンスだけでなく、チームとして「見ていて楽しかったなとサポーターの皆さんに言ってもらえるようなプレー」を目指し、「凱旋で締めくくりたい」と語った。

現在のチームについて「今のこのチームの強みはやっぱりメンバーを入れ替えながらも、同じようなパフォーマンスを発揮できる選手たちがチームの中にいるというところ」と語り、「今回大幅にメンバー入れ替えた中でもその選手それぞれがしっかり高いパフォーマンスを発揮することができれば、アウェイでのようなパフォーマンスをこの今の日本代表チームには期待できる」と自信を示した。


オーストラリア戦については、課題として「最後のゴール前での崩しの部分で、少しクオリティが欠けてしまった」点を指摘。さらに「残り時間が少ない中で失点した」ことについて、「ちょっとしたその隙がやっぱり見られた」とし、細部へのこだわりが必要だと強調した。一方で、新しく招集された選手たちのパフォーマンスには「すごくポジティブに捉えている」と評価。特に「初めてキャプテンを務めた鎌田選手もパフォーマンスは素晴らしかった」と述べ、チームに「ポジティブな面」があったと前向きな見方を示した。インドネシア戦では「よりチームを引っ張っていくようなプレー」を目指し、オーストラリア戦よりも改善された内容での勝利を理想とした。


インドネシア代表の分析と警戒

インドネシア代表について、森保監督は「2026年ワールドカップに向けて、毎回の活動でレベルアップしている」と警戒感を示した。国策として帰化選手を増やし、チーム強化が進んでいると分析し、「今アジアで本当にいい勢いのあるチーム」と評価。ヨーロッパでプレーする選手も多く、「世界基準で戦えるチーム」と認めた。さらに、プレーオフ出場権獲得後に大統領から激励を受けたことに触れ、「力のあるチーム」として厳しい戦いを予想した。


遠藤キャプテンは、前回の対戦時について「立ち上がりで、かなり苦戦した」と振り返り、ここ数年で「すごくチームとして力をつけてきているような印象」を受けたと語った。監督の指摘と同様にサポーターの熱量や国を挙げたサッカー強化への強い思いを感じるとし、選手たちも「自信を持って、しっかりこうつなぐような意識」や「気持ちの部分でも素晴らしい選手たち」が揃っていると評価した。ホームアドバンテージを活かし、勝利を目指すと意気込んだ。


インドネシアのパトリック・クライファート監督についての印象を問われた森保監督は、シン・テヨン前監督がやっておられた形をベースに、スリーバックで踏襲した中で、選手の能力を見極めて、ベースから新たなオプションとして、確実にチームを強化している」という印象を持っていると述べた。


また、インドネシアの危険な選手については、森保監督は具体的な名前を挙げなかったが、「守備は非常に硬いと思いますので、その中心であるキャプテンの一選手を中心とした、強固な守備」に言及。さらに、直近3試合でゴールを決めているという選手について問われると、「1人だけではなくて、複数の選手が、ゴールを奪える能力を持っている」と述べ、特定の個人だけでなく、チーム全体で彼らを止める組織的な守備が必要だと強調した。


5バック対策と勝利への道筋

オーストラリア戦や2022年カタールワールドカップのコスタリカ戦でも見られた「ファイブバックで守られた時の得点力不足」に対する質問に対し、両者は見解を述べた。


森保監督は、ゴール前のアタッキングサードでの「クオリティとパワーが足りない」と分析。「基本的な戦術の中でよりゴールにねじ込めるように」する必要があるとし、戦術的に「いろんなミスマッチを生むようなシステム」や個人の能力向上に取り組む必要性を強調した。


遠藤キャプテンは、5バックを敷いてくる相手に対しては「崩すのが難しいということを前提にまずサッカーをする」ことが重要だと指摘。その上で「攻撃の最後のボックス内でのじゃあクロスの入れ方だったりとか、どこに走っていくのかとか、そういったところのディテール」にこだわるべきだと述べた。練習でもこのアプローチに取り組んだとし、「メンタル的には、難しいということを前提にプレーする」ことと、「攻撃のパターン」の練習を続けることが大事だと語った。相手が5バックを敷くことは「日本を警戒している」証拠であり、「日本のその攻撃の力だったりとか、サッカーのレベルは上がっている」とポジティブに捉えることもできるとの見方を示した。


最終戦への強いモチベーション

日本がワールドカップ出場権を、インドネシアがプレーオフ出場権をすでに獲得している中で、「エンターテイニングな試合ができるか」という質問に対して、遠藤キャプテンは「ワールドカップに向かってやっている」ため「1試合も無駄にしたくない」と述べた。メンバー変更も意図があるものであり、最終的には「素晴らしいパフォーマンスを見せて、ワールドカップの準備というところも含めて、勝点3を取って、いい形でまた次の活動に挑んでいきたい」と意気込んだ。


森保監督も、明日の試合を「非常に厳しい戦いになる」と予想。「我々も、ホームで、アジア最終予選を戦って、絶対に勝ちたいという思い」で臨むとし、インドネシアもプレーオフでの勝利を目標にしているため「両チームとも、真剣勝負の中で、力のある、両チームの戦い」となり、「厳しさとクオリティの高い試合」を見せられると自信を見せた。前回の対戦時よりもインドネシアはレベルアップしており、「大統領が、そのチームの投資をしているというところ」にも触れ、インドネシアの選手・スタッフが高いモチベーションで挑んでくることを警戒。日本は「受けて立つことなく、自分たちもチャレンジすることを忘れずに、アグレッシブに戦っていければ」と締めくくった。



TEXT: TomoyukiNishikawa/SportsPressJP