何か起こすきっかけになるのが僕のストロング

日本代表MFの鈴木唯人は、北中米ワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦で代表初出場を果たした。デンマークのブレンビーからブンデスリーガのフライブルクへの電撃移籍も決定し、キャリアは新たな局面を迎えている。この移籍には、日本代表の10番、堂安律からの助言があった。


プレースタイルと成長

鈴木は、ピッチ上での自身の強みについて明確な哲学を持っていた。下がって組み立てることは「誰でもできる」。だが、「ライン間という厳しい位置でボールを受けて、何かを起こすきっかけになる」のが自分だという。試合前から「落ちすぎずに、なるべくライン間で待って何か起こしたい」という意識でプレーに臨んでいた。相手が引いて守るような状況では、「言われていることだけやっても何も生まれない」と感じ、チームから求められる形だけでなく、選手個々の特徴を理解した上でプレーを崩す必要があると考える。

久保建英のような選手がボールを持った際、彼のパスがどのエリアに出てくるか予測し、そこに動き出すといった即興性や臨機応変な判断が持ち味だ。デビューした約1年前のミャンマー戦の頃と比べ「少しずつは良くなっている」と本人が語る成長点だ。以前は消極的になる部分もあったが、昨シーズンからオンザボールだけでなくオフザボールの動きも意識的に改善してきた結果だ。


オーストラリア戦のシュートシーンについて、コースが見えていたにもかかわらず決めきれなかったことを悔やんだ。左サイドを流れる場面での高いポジションでの入れ替わりについて、鎌田選手が落ちてスペースが空くことを予測し、あえて右サイドから自身が中に入ってプレーを作るなど、自分の判断で動きを作り出す場面があった。これは、監督から右サイドで落ちて組み立てるように求められていたにもかかわらず、「それじゃなくても大丈夫かな」という自身の判断で行ったものだ。試合を重ねる中で、FWのコースを消さないように、中に入りすぎるタイミングや状況判断のバランスを磨いていきたいと考えている。

チームメイトとの連携については、特に新しい選手が多かった今回の代表活動では、パスを出してほしい場面が多くあったと振り返る。彼は、味方に対し「とりあえず見えたら出してくれ」「強いボールでも何でもいいからとりあえず出してくれ」と繰り返し伝えてきたという。しかし、試合中はシンプルにプレーする傾向があるため、自身もボールを受けた際に「もう少し強引にでもいいから崩しに行くシーンが必要だった」と感じた。


代表でのポジション争いと将来

日本代表の2シャドーには久保建英、鎌田大地、そして選外の南野拓実や旗手怜央といった強力なライバルがひしめいている。鈴木は、このポジション争いについて、「自分は他の選手と違った特徴がある」と言い、インドネシア戦や今後の代表活動でその特長を見せていくしかないと考えている。代表に選ばれるには、「チームでのプレーが評価される」ことが不可欠。新しいチームであるフライブルクで活躍する姿を見せることで、代表入りのチャンスを広げたいと語った。


フライブルクへの移籍の舞台裏

デンマークで2年で公式戦24ゴールを挙げた鈴木のフライブルク移籍には、日本代表10番の堂安律の「アシスト」があったようだ。鈴木は、フライブルクへの移籍を決める前から、去年からずっと堂安に情報収集を行っていたことを明かした。また、決断前にはフライブルクのユリアン・シュスター監督とも複数回話し合いをしていた。移籍決定後も、堂安とは簡単なやり取りをしているという。

鈴木唯人は、自身の強みと成長を信じ、新たな舞台でさらなる飛躍を目指す。彼の挑戦は始まったばかりだ。


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