柳本あまね選手は、大阪カップでのオーストラリア戦後、試合を振り返り、チームとしての手応えや課題、自身のプレー、そして今後の目標について詳細に語った。
オーストラリアとの最終戦、「チーム全体の集中力が高く、勝利への強い気持ちが感じられた」と振り返った。特に前半は、集中力を保ちながら良いバスケットを展開できたとし、全員で勝ちに行く姿勢が実を結んだと評価。一方、第4ピリオドでの得点力不足を課題に挙げ、改善の必要性を認識した。次世代中心のチームながら、強豪国と互角に戦えたことは大きな自信につながり、この経験を日本女子車いすバスケ全体のレベルアップに活かしたいと意欲を示した。「この試合の敗戦も、将来に向けて意味のあるもの」と前向きに捉えた。
前半の戦いでは、相手のプレッシャーに対し、日本チームの「1対1の強さ」が際立っていたと手応えを感じた。合宿でのプレスブレイクの練習が功を奏し、選手間の連携もスムーズだったため、相手のディフェンスに臆することなく自分たちのバスケットを展開できたという。
後半については、相手が戦術を変えてきたことにより、初戦と同様の苦戦を強いられたという。過去の対戦での課題を踏まえ、クロスの動きなどを中心に対策を講じたものの、「1on1のスキル」、特にハーフコートでスピードが上がらない状況での「1on1」において、相手に劣る部分があったと分析。この点が今後の強化ポイントになるという。
チームとしての手応えについては、シュートチャンスを多く創出できたことを評価。シュートの精度には課題が残るものの、焦らず良いシュートを打つ意識を徹底し、チーム全体で実行できたことは収穫だったと述べた。また、味方の積極的なプレーやインサイドへのアタック、セカンドチャンスへの意識など、「多くのファインプレー」があったとし、チーム全体の成長を実感している。
自身のプレーについては、チームが追いつかれた場面や停滞した時間帯に、積極的に切り込んでチームを鼓舞したと語る。「今こそ自分が」という強い気持ちでプレーし、ランニングシュートの調子の良さを活かして積極的に攻めた。相手ディフェンスの対策が不十分な点や、自身の攻撃から生まれるキックアウトによるアウトサイドシュートにも手応えを感じ、攻撃の幅を広げることができた。
壁にぶつかりながらも諦めずに走り続け、「ボールを残した」シーンでは、気持ちの強さを見せた。「朝のミーティングでビデオを見ながら、日本のルーズボールへの執着心が良いという話が出た。コーチから『日本はボールを諦めずに追い続ける姿勢が素晴らしい』と言われ、それを聞いて『やってやろう』という気持ちが強まった」と振り返る。「マイボールにできるなら1つでも多くという意識でプレーした結果。たまたまあの場面では私だったが、チームの誰もが同じ姿勢で戦っていたと思う」と振り返る。
試合を通じて、自身の役割を果たすことに集中し、特にインサイドのプレーで自信を深めた。アドレナリンが出ていたこともあり、最後まで諦めずに戦い抜くことができたと述べている。スリーポイントシュートについては、「ファウルをもらうことも狙っていた」が、相手ディフェンスのレベルが高く、思うようにいかなかったという。
チームを牽引する意識については、財満選手とともに「経験を活かしてチームを引っ張っていく」という強い意志を持っていたと語る。キャプテンの碓井選手に対しては、ウォーミングアップ時に次のメニューを伝えたり、ボールの数を共有するなど、「自身の知識を共有すること」でチームを支えた。
今後の課題と目標は、11月のAOC(アジア・オセアニアチャンピオンシップ)を見据え、「40分間プレッシャーをかけ続けるディフェンス」の必要性を説く。3ピリオド、4ピリオドで相手に引かれた際の「1on1スキル」、タイミング、シュートセレクションなど、個々のスキル向上も重要な課題として挙げた。「ディフェンスから流れを掴むチーム」として、守備の強化を最優先に取り組む必要があると話す。
最後に、オーストラリア代表がほぼ最終予選時のメンバーであったにも関わらず、8点差で競り合えたことは、「チームにとって大きな意味がある」とし、11月に向けてさらにレベルアップし、勝利を目指す決意を新たにした。
TEXT/PHOTO TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
0コメント