3連覇を達成できて素直に嬉しい

第50回記念日本車いすバスケットボール選手権大会決勝は、神奈川バンガーズ対埼玉ライオンズの対戦となり、61対41で神奈川バンガーズが勝利、3連覇を達成した。


試合は、神奈川バンガーズが第1クォーターからリードする展開となった。古澤選手のシュートをきっかけに、チームは勢いに乗った。高松選手の安定したゴール下でのプレーや、大山選手の力強いゴール下での得点も目立った。神奈川バンガーズは、ディフェンスからの速攻で得点を重ね、試合を優位に進めた。対する埼玉ライオンズも、熊谷選手を中心に得点を重ね、食らいつこうとした。しかし、神奈川バンガーズのアグレッシブなディフェンスやリフレクションボールへの素早い反応を前に、点差を縮めることはできなかった。 


試合終盤には、神奈川バンガーズの鳥海選手が連続得点を決め、渡辺選手がシュートを決めるなど、チーム全体の総合力を見せつけた。神奈川バンガーズは、攻守ともに高いレベルのプレーを披露し、最終的に20点差で勝利した。 


試合後、両チームの選手たちがそれぞれの思いを語った。 


まず、優勝した神奈川バンガーズの塩田選手は、「素直に嬉しいなっていう気持ちが一番です」と喜びを語った。移籍して1年というこの年を、「少しの間、怪我に苦しんだ時期もあったんですけど、チームとして新しいコンセプト、スリーポイントとインサイドっていうのに全員でずっとお話続けながら取り組めたっていうのは、すごいいい経験になりました」と振り返った。そして、「個人としてもチームとしても、まだまだ成長できる部分が今大会、準決勝、決勝など含め全試合で見つかったので、そこを改善してもっと強いチームになっていきたいと思います」と、さらなる成長への意欲を示した。 


同じく神奈川バンガーズの古澤選手は、「1年間準備してきて、3連覇っていう目標を達成できて素直に嬉しいです」と語った。チームとしてオフェンスを強化してきたこの1年については、「僕たち神奈川バンガーズはスリーポイントとインサイドっていうその2つのスタイルを貫いてやってきたんですけど、今日の試合もシュート確率はどうであれ、1年間やり続けてきたものをやり通すっていう姿勢をまず見せて、勝つことができたっていうことは誇りに思いたいなと思います」と、チームのスタイルを貫いたことを強調した。また、神奈川バンガーズは自身にとって「旧パラカナがSCから含めるとちょうど10年目のシーズンなので、すごく大切な場所になっているのかなと思います」と、チームへの深い思い入れを語った。 


さらに、神奈川バンガーズの宮本選手は、「去年の春先にチームとして新しい体制の戦い方をして、すごい苦戦をしたんですけど、今回、皆様のように、皆様に完成形を見せれたことはすごいよかったですし、安心してる気持ちです。優勝できて安心してる気持ちです」と、チームが苦難を乗り越えて優勝できたことへの安堵を語った。また、今大会が50回記念ということもあり、「国内でも1番おっきな大会なので、しかも3連覇できたことはすごい自分の経験にもなりますし、他の選手にもの経験にもなりますし、すごいいい大会だと僕は思います」と、天皇杯への特別な思いを述べた。そして、「このような素晴らしい経験を、3連覇という素晴らしい経験と優勝という経験をさせていただいたスポンサーの皆様であったり、ファンの皆様、そして家族であったり、チームメイトに感謝をし、感謝をしています。で、今回3連覇ということを成し遂げられたのはすごい嬉しいので、嬉しいです」と、周囲への感謝の気持ちを表した。 


対する埼玉ライオンズは準優勝という結果になったが、熊谷選手をはじめ、新加入の選手や若い選手が活躍を見せた。この1年でライオンズは新たなチームを作り上げ、試合を重ねるごとに成長していった。特に熊谷選手は決勝で素晴らしい活躍を見せ、新しい埼玉ライオンズの姿を示した。シャドー、ポインターを絡めた連携や、古川選手らが得点に絡む場面も多く、チーム全員でバスケットをする良いシーンが見られた。昨年の決勝で神奈川バンガーズに3点差で敗れた雪辱を果たすことはできなかったものの、チームの進化が感じられるシーズンとなった。今後のさらなる活躍が期待される。 


試合全体を通して、神奈川バンガーズはディフェンスと切り替えの速さが際立っていた。特に、リフレクションボールに対する反応や、アグレッシブなディフェンスが目立ち、得点後の切り替えの速さや、ボールを奪い返してからの得点力も強みであった。一方、埼玉ライオンズは、チームとしての成長を見せたものの、神奈川バンガーズの牙城を崩すことはできなかった。 


今大会は、国内の車いすバスケットボールのレベルアップを示すものであり、次世代の選手たちの活躍も目立った。多くのファンが会場に訪れ、大会を盛り上げた。また、神奈川バンガーズは、チームの連覇を支えるだけでなく、日本代表の強化にも貢献していると評された。 

Photo by Kohei Maruyama / SportsPressJP