第103回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝で、明秀日立が東海大相模に1-2で敗れた。7年ぶり2回目の準々決勝進出を果たした明秀日立だったが、国立競技場行きの切符を手にすることはできなかった。
試合は明秀日立が先制した。前半34分、久保遼真がCKから絶妙なヘディングシュートを決め、初戦から3試合連続の先制に成功した。しかし、前半40分に東海大相模のエース沖本陸に追いつかれ、1-1の同点で前半を折り返す。後半25分には高畑旺崇に勝ち越し点を許し、逆転負けを喫した。
萬場監督は試合を振り返り、「良い時間に点が取れて、前半を1-0で終わりたかった」と語った。先制したものの追いつかれたことについて、「一瞬の隙を突かれたのは、自分たちの甘さ」と分析。さらに、「2点目はちょっと苦しいなと思っているなかで押し返せなかった。ボールが落ちたところの運もあるけど、ああいうところで、もうちょっと主導権を握らなきゃいけなかった」と反省の弁を述べた。
東海大相模の攻撃に関しては、「相手に抜け出されてから、リトリートしたかったのですが、それが思ったよりも速くゴール前に持っていかれた印象はあった」と評価。特にサイドチェンジを絡めた攻撃に苦しめられた様子がうかがえる。
初出場の東海大相模との対戦について、萬場監督は「うちからすれば神奈川県はどこが出てきても強豪。桐光(学園)、日藤(日大藤沢)、横浜創英、東海大相模って、どこが出てきてもすごく強い。あまりそこは意識しなかった」と語り、相手の初出場を特に意識することはなかったと明かした。
敗退を喫したものの、萬場監督は選手たちの成長を評価した。「(インターハイ県予選決勝で敗れた)夏の悔しい思いを上手に跳ね返して成長してくれて、ここまで来てくれた。私たちもすごく成長を実感している」と語る一方で、「ただ、国立に行く、日本一になるって簡単なことじゃない」とも付け加えた。
注目すべきは、3年生の今後についての萬場監督の考えだ。「私たちはあまり『引退』って表現はしない」と述べ、高校サッカーの終わりが選手たちのサッカー人生の終わりではないという考えを示した。「大学に行って、活躍していくための準備はサッカー選手として必要なこと。高校サッカーだけで終わりの子もいるけど、どういう活躍を将来的にしていくかって、ここで終わりではないと思っているので」と語り、選手たちの将来を見据えた長期的な視点を持っていることがわかる。
さらに、「これから大学に行くための自分の考え方、フィジカルのトレーニング、もちろんボールスキルも含めて、まだまだ伝えていくべきことはあるので、まだ普通に活動する」と述べ、高校卒業後も選手たちの成長をサポートする姿勢を示した。
萬場監督は最後に、「彼らはほとんど大学でサッカーをやっていくので、次はもっと良い選手になって、個人としても活躍していってほしい。常に成長する課題意識を持ち続けてほしいので、今はこれが自分たちの課題だぞと思って、ちょっと休んで、大学に行くための練習に切り替えていきたい」と語った。この言葉からは、今回の敗戦を糧に選手たちがさらなる成長を遂げることへの期待が感じられる。
明秀日立の挑戦は今大会で幕を閉じたが、選手たちのサッカー人生はまだ始まったばかりだ。萬場監督の言葉にあるように、高校サッカーはより大きなステージへの助走期間でもある。今回の経験を活かし、選手たちがどのような成長を遂げていくのか、今後の活躍が期待される。
高校サッカーの枠を超えて選手の将来を見据える萬場監督の姿勢は、単に勝利を目指すだけでなく、真の意味での選手育成を追求する指導者の在り方を示している。この敗戦を乗り越え、明秀日立の選手たちが次のステージでどのような活躍を見せるのか、注目が集まるだろう。
取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
Photo by HiroshigeSuzuki/SportsPressJP
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