細部まで念入りに計画し、守備陣と共通認識を持った

木稲瑠那選手、クラシエカップ決勝で再び完封


2024年12月29日、国立競技場で開催された2024-25 WEリーグクラシエカップ決勝で、サンフレッチェ広島レジーナがINAC神戸レオネッサを1-0で下し、連覇を達成した。その立役者の一人がゴールキーパーの木稲瑠那選手だった。昨年の決勝に続いて無失点で試合を終え、チームを優勝に導いた。


試合は開始から緊張感が漂い、両チームの守備の強さが光る展開となった。前半、サンフレッチェ広島レジーナの中嶋選手が巧みなドリブルで相手守備陣を引き付け、左サイドにパスを送ると、これを上野真実選手が見事に決めて先制。この1点を守り切ったのが、木稲選手を中心とした守備陣の活躍だった。


木稲選手は試合中、相手から10本ものシュートを受けたが、そのうちの2度は特に決定的な場面でのファインセーブを見せた。終了間際には至近距離からのシュートを防ぎ、その後のコーナーキックでも冷静な対応を見せた。このプレーについて木稲選手は「逆を突かれましたが、足を残したことが良かったのかなと思います」と語り、自身の得意な角度での対応だったと振り返った。また、コーナーキックについては「皇后杯で対戦した時に、自分が前半でキャッチミスをしてしまい相手選手に『取れないぞ』と何回も言われていたので『取ってやる』という気持ちは大きかったです。あの時間にキャッチというプレーができてチームを救えたかなと思います」とコメントした。


試合後、木稲選手はチーム全体の守備意識の高さを勝因に挙げ、「蹴ってくるのは分かっていたので、市瀬選手が弾くことを徹底していましたし、セカンドボールに対しても反応できるように周りも近いポジションを取ることを意識していました」と述べた。特に、後半に相手が布陣を変更して攻撃を仕掛けてきた場面についても、「左山選手が『相手のシステムがこうなったから』と声を出して自分たちのビルドアップの時にどうするか統率してくれているので本当に頼りになります」とその準備と対応を評価した。


また、試合前から眩しい状況を想定して準備を重ねていたことも功を奏した。木稲選手は「細部まで念入りに計画し、守備陣と共通認識を持つことが、連覇につながった」と準備の重要性を改めて強調した。

2万人を超える観客が見守る中での試合は、WEリーグ公式戦の観客動員記録を更新するものとなった。木稲選手は、この勝利が「1万人プロジェクト」と銘打たれたリーグ後半戦の観客増加計画にも大きく貢献すると述べ、「この中で勝てたことは大きなことだと思っていますし、この勝利を1万人プロジェクトにつなげたいと思います」と意気込みを語った。


サンフレッチェ広島レジーナが築き上げた守備の堅さ、そして木稲瑠那選手の冷静かつ力強いパフォーマンスは、今後のリーグ戦でも大きな注目を集めるだろう。


取材:石田達也

Photo by TomoyukiNishikawa/SportsPressJP