サンフレッチェ広島レジーナがクラシエカップ連覇を達成した。29日に行われた決勝戦で、INAC神戸レオネッサを1-0で下し、昨季に続いての優勝を果たした。
試合は国立競技場に2万人以上の観衆を集める大一番となった。前半33分、広島の上野真実がゴール前の混戦からシュートを押し込み先制。その後、INAC神戸はカルラ・モレラを中心に反撃を試みたが、GK木稲瑠那が好セーブを連発し、得点を許さなかった。後半アディショナルタイムにも訪れたピンチを木稲瑠那が防ぎ、試合はそのまま終了。広島が1点を守り切り、クラシエカップ連覇を成し遂げた。
試合後、吉田恵監督は「寒い中、年末の忙しい時期にもかかわらず、国立競技場に広島からたくさんのサポーターの方が駆けつけてくれたことに感謝申し上げたい」と述べた。また、「1週間前に同じ対戦カードで試合を行ったこともあり、お互いの戦術がある程度見えた中での難しい戦いだった」と振り返った。特に後半はINAC神戸に押し込まれる時間が長く、「最後まで諦めずに勝利をつかんだ点を評価したい」と話した。
得点シーンについては、「上野のシュートが相手に当たり、GKの反応が遅れたラッキーなゴールだった」と振り返りつつ、「シュート数が少なかったことは課題として挙げ、次回の対戦ではより良い形で得点を奪いたい」と語った。さらに、「守備面では耐えながらもカウンターでチャンスを作れた点は評価できるが、最後の決定機を決め切れなかった点は課題として取り組んでいきたい」と述べた。
コンディションが万全ではない選手が多い中での起用については、「選手の将来を考慮した上での難しい選択だった」と説明し、「試合では全員が献身的に戦い、チームとして一つの形を示せた」と語った。特に上野選手については、「守備の献身的なプレーやカウンター時の活躍を称賛したい。大一番で結果を出した点を高く評価している」とした。また、「押し込まれた中でもゴール前に戻るシーンや、セカンドボールを拾ってカウンターに出ていくシーンなど、チームが苦しい時にこそ非常に頼りになる選手だ」と評価した。
後半にシステムを5バックに変更した理由については、「INAC神戸のロングボール攻勢に対応するためだった」と明かした。「中を閉めつつ、クロス対応を強化する意図で行ったこの変更が効果を発揮した」と分析した。
創設3年目で2つのタイトルを獲得したチームの意義については、「ゼロから立ち上げたチームが短期間で結果を出し、女子サッカーの価値を高めることに成功した」と述べ、「男子チームとともに広島のサッカーを盛り上げるという意気込みが、今回の優勝に結びついた」と語った。
観衆が2万人を超えた試合については、「国立競技場での試合に選手たちが喜びを感じていたことを明かし、これだけ多くの観客の中で優勝できたことを嬉しく思う」と締めくくった。
吉田監督はさらに、「このクラシエカップではほぼ全員の選手が出場し、相手やフォーメーションを変えながら戦う中で、レジーナとしての良い表現や価値を示す試合ができたと思う」と語り、「去年と今年、カップ戦を取れたのはチームとしての取り組みや、選手たちの意気込みの賜物だ」と結んだ。
取材:石田達也
Photo by TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
0コメント