壷井達也選手
全日本フィギュア選手権、ショートは14位と出遅れた壷井選手だったが、フリーで巻き返し見事3位に食い込んだ。「ショートはすごく悔しい演技で終わってしまったんで、(今日は)冒頭少しミスはありましたけど、最初から最後まで流れを切らさずにしっかり自分の演技を出し切ることができました」と振り返った。
1週間前から風邪をひいて体調が万全でなかった中で迎えた試合だったが、「最後の追い込みは少しできていなかった部分もあったけど、それでもフリーに関してはここまでできるんだっていう自信になりました」と語る。ショートの失敗からの切り替えについては、「練習を詰めるのがベストだけど、そうはいかない部分もある。その中でどれだけ最後根性で乗り切れるのかというチャレンジをフリーではしていました」と話し、精神力の強さを見せた。
フリーでは「開き直りの方が大きかった」としながらも、公式練習では「このままだとあんた強化落ちだよ」という厳しい言葉を先生から受けたことで奮い立ったという。「自分自身で追い込み切るのが難しい時もあるので、先生の一言はすごく大きかった」と感謝を述べた。結果については「自分がこのフリーでベストを尽くせたことは誇りに思う。四大陸は選ばれたらそれに向かって頑張るし、選ばれなかったとしても来シーズンのオリンピック選考の全日本に向かって頑張りたい」と次を見据えた。さらに「調子がいい時はそのまま行けるけど、調子が悪い時にどれくらい加減を少なくできるかがトップ選手を目指す上で大事だと思うので、今回一つ収穫を得ることができた」と手応えを感じた様子だった。
壷井は普段から科学的なアプローチでトレーニングを行っているが、「全部が数値化できるわけではなく、今日はやる気があるとかないとかいう感情は人間である以上ある。それを受け入れつつ科学的なトレーニングを組み立てた上で、最後はやっぱり気持ちの勝負になる」と語る。体調不良やプレッシャーを抱えながらも、科学と感情のバランスを取り、持てる力を最大限に発揮した。今回の経験は、さらなる成長に向けた大きな糧になったと感じさせる内容だった。
Photo by HiroshigeSuzuki/SportsPressJP
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