TWD大ヒットの理由とその世界観

ウォーキング・デッドは生き残りをかけた極限状況の世界。そんな過酷な環境で、キャラクターたちは互いの違いを乗り越え、協力し合うことで絆を深め、互いに成長していく姿が見事に描かれている。ダリル・ディクソンも、無骨で他者を拒絶する人物から、徐々に仲間との絆を重んじ、大きく成長を遂げていった。この「生き残りをかけた中での絆と成長」という重厚なテーマと世界観が、リアルな人間ドラマとして多くの視聴者の心を捉えていった。


質問者:ウォーキング・デッドでのキャラクターが大人気になった理由と、そのキャラクターを演じる上で大切にしていることは何ですか?


ウォーキング・デッドが大ヒットした最大の理由は、普段は揃わないような個性の違う出演者たちが集まったことです。生き残るには互いの違いを乗り越え、協力し合わなければなりませんでした。私の演じたダリルは率直で常に真実を語る無骨なキャラクターでした。見せかけは何もなく、やるべきことに正直に取り組む姿勢が印象的でした。最初は人々から信用されない危険人物に見られていたでしょう。しかし、シーズンが進むにつれダリルの本当の人柄が見え隠れするようになりました。当初のダリルは人種差別的で盗みを働く設定でしたが、私が作家陣に設定変更を求めました。私自身も同じような家庭環境で育ち、そのことを恥じていたからです。兄役のマイケル・ルーカーが去ったことで、ダリルが自立するチャンスが生まれました。


ダリル役を演じる上で大切にしていることは、このキャラクターの成長過程を体現することです。最初は共演者を正面から見ることさえできず、みんなに嫌われているように感じていました。しかしシーズンを重ねるごとに、徐々にダリルが仲間に受け入れられていく様子を、私自身の体の振る舞いにも取り入れていきました。最終的にはダリルは少年から大人への成長を体現するキャラクターになりました。私自身もシーズンを重ねる毎に、そうした成長を実感しながら演じることができたのです。


質問者:グレン役のスティーヴン・ユァンは原作でグレンが死ぬことを知っていましたが、ダリルはオリジナルキャラクターなので運命が分からなかったそうですね。


はい、そのとおりです。スティーヴンはグレンが原作で死ぬことを知っていたので、ある程度運命を予想できたでしょう。しかしダリルはオリジナルのキャラクターだったので、新しいスクリプトが届くたびに不安になっていました。いつ自分のキャラクターが死ぬのか、物語の中でどうなるのかまったく分かりませんでした。


質問者:ボンドック・サインツの新作についてはどう思いますか?


新作が制作されることを本当に楽しみにしています。前作は7百万ドルの小規模予算でしたが、口コミで大ヒットする作品となりました。しかし配給の問題で、アメリカでは上映が難しい作品でした。今回の新作は『ジョン・ウィック』の製作陣が参加するため、かなり大規模な作品になる予定です。私は早期の脚本を読む機会がありましたが、1作目の良さは残しつつ、さらに過激な要素も盛り込まれていて非常に楽しみです。


質問者:ウォーキング・デッドのエキストラに参加したい人が多いそうですね。大変な仕事なのでしょうか?


そうした要望は多数寄せられています。しかしウォーカー役はとても大変な仕事だと思います。長時間の化粧と、視界を遮るコンタクトレンズなど、相当ストレスのかかる作業があります。一方で、熱心なウォーキング・デッドのファンにとっては、夢のような経験にもなるでしょう。自分が演じるキャラクターに殺されるわけですからね(笑)。でも本当に大変な仕事なので、それを理解した上で挑戦する必要があります。


質問者:最後に、テレビシリーズと映画の演技の違いを教えてください。


テレビシリーズと映画では、演技に求められるアプローチが全く異なります。テレビシリーズの場合、視聴者の生活に長期間入り込むため、より親密な関係が生まれます。演技においても、その回その回の出来事だけでなく、将来につながる伏線を意識する必要があります。シーズンを通して種をまき、樹木や森が育っていくように演じていかなければなりません。

一方の映画は一度限りの体験です。キャラクターの背景にあらゆる情報を詰め込んだ上で、その場の出来事に対して即興で演技をこなす必要があります。いずれも大切なスキルではありますが、テレビと映画では見据える視点が根本的に異なるのです。長期的な視野が重要なのか、それとも一発勝負なのか、その違いを念頭に置いて演技に臨まなければなりません。


質問者:ここにいるファンの皆さんはすでにあなたが、ノーマンリーダスさんが人生の一部になっていると思いますので、またぜひ日本にきてください。


日本が大好きです 私はいつも日本を愛しています、本当にありがとう。