ホンダを離れたエースに感じる既視感

来季からホンダを離れて戦闘力の高いドカティに移籍するマルケス。しかし今年から新しい優遇措置が施行され、ライバルも進化するだろう。この状況はどこか既視感を抱いてしまう。


実力のある者が戦闘力の高いマシンを駆れば、速いのは当然だ。しかし2輪の場合はバイクの特性やライダーの相性もあって苦戦する事がある。長い歴史の中で、思った通りの結果にならなかった例はいくらでもある。違うメーカーでの優勝、タイトル獲得は意外とハードルが高いのだ。だが、テスト1日目で好タイムをマークしたマルケスとドカティのパッケージは強さを証明した。これまで苦戦していた要素が解消されたのは明るい兆候だ。


しかし、来シーズンを占う上で憂慮すべき要素が2つある。一つはライバルが受ける優遇措置の影響だ。シーズン中のテスト回数、エンジン開発、タイヤ数、エアロ更新など多岐に渡る。これについてドカティ側は不満を感じているようだ。シーズンは長いので、後半進化してくるであろうライバルの実力が現時点では読めない不安がある。もう一つは型落ちのマシンを使わなければならない状況だ。戦闘力が高いとはいえ、型落ちのマシンで戦うことがシーズンの途中で影響してくるのではないかと想像する。


そして、マルクがアグレッシブなライダーということも不安材料の一つだ。最新機に乗るファクトリー勢との待遇の違いも気になる。シーズン後半に古巣ホンダが息を吹き返してきたら、フラストレーションが高まるかも知れない。


もちろん、本人はそういった諸々の事は全て理解して織り込み済みであろう。未知数のホンダより、今年のチャンピオン・マシンに乗る方がマシだと考えるのは当然である。元王者と最新優勝マシンのケミストリーがどういう力を証明するのか。世界が注目している。

期待と不安が交錯するシーズンになりそうだ。


SportsPressJP