滋賀の歴史を変える90分へ「なんとしてでもJへの道を掴み取りたい」

J3残留を目指すアスルクラロ沼津と、J3昇格を狙うレイラック滋賀FCによる2025年J3・JFL入れ替え戦第1戦が12月7日、滋賀のホーム・平和堂HATOスタジアムで行われ、滋賀が3-2で先勝した。序盤から互いに譲らない展開となり、滋賀はセットプレーを武器に主導権をつかみ、三宅海斗の決勝点で試合を決めた。滋賀はクラブ史上初のJリーグ入りへ大きく前進し、敗れた沼津は14日の第2戦(愛鷹)での勝利が必須となった。スタジアムには9006人が集まり、熱気に満ちた雰囲気となった。

レイラック滋賀の角田誠監督は、ホームでの白星について「前半が終わった段階でアドバンテージを得られたのは大きい」と語り、この試合のためにリーグ戦とは異なる戦い方を準備していたことを明かした。2週間の積み上げが実を結んだと話し、セットプレーで狙い以上の成果を得られた一方、2失点については改善の必要性を口にした。9000人を超える観客については「滋賀のサッカーでこれだけの人が入るとは思わなかった」と驚きを示し、「沼津がつくってくれたJリーグらしい雰囲気」と感謝も述べた。

セットプレーで得点した西山、ロメロについては、通常なら行わない日にも練習を重ねてきた結果だと語った。今季初スタメンで勝ち越しゴールを挙げたロメロ・フランクは「いい準備ができていたし、決めるつもりでいた。練習通り」と振り返った。角田監督も「彼の経験やパワーはチームの武器になる。ここで得点を取るのは彼が持っているもの」と評価した。

決勝点の三宅は「狙っていた。9000人に見られるのは最高。次も子どもが憧れるプレーを見せたい」と意欲を見せた。


一方、敗れた沼津の鈴木秀人監督は、多くのサポーターが滋賀まで駆けつけた中で勝てなかったことを悔やんだ。立ち上がりのセットプレーでの失点が相手に勢いを与えたと分析し、3失点すべてがセットプレー絡みだった点を問題視した。今季も同様の形で試合を難しくすることが多かったとし、改善の必要性を認めた。セットプレーでの反応について問われると、背後のボールへの対応やこぼれ球への反応に硬さがあったと述べた。一方で攻撃面では、中盤でボールを持つ時間があり、狙っていたサイド攻撃にも一定の成果が出ていたと評価した。同点弾を決めた川又堅碁については、期待通りの働きだったと語った。鈴木監督は第2戦に向け、セットプレーの修正を必ず行うとし、勝つしか道がないと覚悟を示した。

滋賀は第2戦で引き分け以上ならJ3昇格が決まり、角田監督は「次の90分で我々の人生も滋賀県サッカーの歴史も変わる瞬間が来る。それをつかみにいく」と意気込む。沼津は逆転残留に向け、ホームで最後の勝負に挑む。


取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP