東京2025デフリンピックで熱戦が続く中、デフバスケットボール女子日本代表が25日、大田区総合体育館で行われた決勝でアメリカ代表を65-64で破り、デフリンピック史上初となる金メダルを手にした。世界ランク1位の強豪を相手に、持ち味のディフェンスとスピードを活かして主導権を握ったものの、第3クォーターでは追い上げを許し、緊張感の漂う展開となった。それでもチームは最後まで粘り、歴史的な勝利をつかんだ。
坂本知加良ヘッドコーチは、激戦を振り返りながら、チーム全体でつかんだ勝利に喜びを示した。日本の強みであるディフェンスからの速い攻めを、全員がコミュニケーションを取りながら徹底して実行したと語る。一方でアメリカは体の強さもスピードもあり、流れをつかむのが難しい時間が長かったと明かした。特に第4クォーターの苦しい時間帯では、プレッシャーが高まる中で「落ち着いて自分たちのバスケットを表現しよう」と選手たちに伝えていた。
ポイントガードとしてチームを引っ張った若松優津選手は、3年前から金メダル獲得を目標に努力してきたことを振り返り、厳しい時期もあった中で最高の結果を出せた喜びを語った。苦しい場面では「今までやってきたことを貫けば大丈夫」と仲間に声をかけ続けていたという。金メダルの意義については、多くの支えへの感謝を示す機会になったと感じている。また、同じ社会人チームの仲間たちの応援も力になったと話した。坂本ヘッドコーチは、今回の結果がデフリンピックやデフスポーツ全体を知ってもらう大きなきっかけになると語り、多くの人に見てもらえたことを喜んだ。
3ポイントシュートで流れを変える活躍を見せた丸山香織選手は、試合後にメダルをかけている状況について「最高に嬉しい。今まで色々とご協力いただいた皆さんに本当に感謝の気持ちでいっぱい」だと述べた。前半はシュートがなかなか決まらず緊張していたが、第3クォーターで流れを変える1本を決めた際には、「やっと入ったので嬉しかった。流れを変えることができたその1本はすごく良かった」と振り返った。また、丸山選手は、3ポイントシュートを決めた際に、地元の鯖江市のメガネを意味するポーズをとったことを明かした。
加藤志希選手は、これまでの試合でシュートミスが多かったことから「チームに対して申し訳ない迷惑をかけた」と涙を流したが、双子の姉である加藤志野選手は「そんなことないよ」と励ました。志野選手は「今回の目標はずっとチーム一丸にすることで、出てからずっとそれを続けられていたと思う」と、チームの団結を評価した。
坂本ヘッドコーチは選手たちへの思いを問われ、「本当にあの苦しかった長かったんですけど、このために頑張って来れた。選手たちには金メダルをもらったので、自分は本当にこれが見たかったんだと思って涙が流れた」と、感極まった様子で語った。
坂本HCは、この金メダル獲得をデフリンピックへの「旅が完結する」瞬間と捉えており、「目標だったメダルを達成して、やっとここにたどり着いた。しかもみんなが1番見たかった景色を見ることができた」と締めくくった。
取材:JunkoSato/SportsPressJP
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