東京デフリンピック競泳エース茨隆太郎、地元で通算20個目の「銀」獲得

東京2025デフリンピック競泳競技の初日、男子400メートル自由形決勝が20日に開催された。デフ水泳界のエース、茨隆太郎(SMBC日興証券)は4分05秒11の自己ベストを更新し、銀メダルを手にした。このメダルは茨にとってデフリンピック個人通算20個目という節目となる。地元東京の大声援を受け、茨は序盤から積極的なレースを展開したが、惜しくもウクライナの選手に競り負けた。この日は息子の2歳の誕生日。地元開催で迎えた記念すべき初日、茨は大きなプレッシャーを乗り越え表彰台に立った。


地元東京で通算20個目のメダルも「金メダルに届かず悔しさ半分」

日本選手団の柱である茨隆太郎は、レース後、地元開催の重圧と結果への正直な感情を口にした。「今回初めて日本で開催されたので、今までにないぐらいプレッシャーを感じていた」と茨は語る。彼は2021年の前回大会を最後に引退するつもりだったが、東京開催が決まり現役続行を決意。以来3年間、「今までにないぐらい本当に苦しい練習の積み重ねをしてきた」と明かした。その結果、「今回やっと銀という結果を出せて今すごく嬉しく思っている」と喜びを語った。


決勝では、予選後に監督と決めた「最初の50メートルから積極的に攻めてスタートする」という作戦通りに泳ぎ切った。しかし終盤、「最後の50mのところで隣のウクライナの選手と競り合って、先にウクライナの選手が行ってしまった」と、勝負所で力が足りなかったと振り返る。目標タイムには届かず、「悔しい部分がある」としつつも、自己ベストを更新し銀メダルを獲得した結果に「でも正直言えば、いいメダル取れたことも嬉しいので、そのと悔しさの半々っていう感じ」と胸中を明かした。


息子への誕生日メダルと地元応援の感動

茨はこの日、2歳の誕生日を迎えた息子に銀メダルを捧げた。「本当は目標は金メダルだったが、最終的に銀メダルとなってしまった。今日息子が2歳の誕生日なので、メダルをかけてあげたいと思う」と話した。


また、これまで国外開催でしか出場経験がなかった茨にとって、地元開催での大声援は格別なものだった。「今回は地元開催ということで本当にたくさんの方が応援に来てくれ、サインエールも届いた。応援席を見ると、知ってる人がいっぱいいるってウェーブもしてたりするので本当に今までそういう経験がなかったので、今までにいないぐらい本当に、もう感動した」。「試合の始まる前からもう涙を我慢するぐらい感動していた」と振り返った。


茨は今大会、デフリンピック通算メダル数で日本選手最高の21個を超えることを目標とする。彼は専門種目である個人メドレーに向けて気持ちを切り替えた。「今回のデフオリンピックで最低でも3個取れば21個のメダルを越すことができるので、明日からまた5日間あるので獲得できるように頑張る」「まずはその方を目標追い越す形、22個を取って追い越すっていう形を目標にしたい」「明日からはとりあえずもう楽しんで泳げるかなという風に今思っている」と意欲を示した。


取材:JunkoSato/SportsPressJP