園部八奏「マッチポイントでもしっかり打っていけたのは自信になる」

17歳の園部八奏が、東レ パン・パシフィック・オープンテニストーナメント2025の2回戦で全豪女王ソフィア・ケニンに惜しくも敗れた。東京・有明で行われた試合は6-3、1-6、6-7(2)のフルセットにもつれ込み、2時間18分の熱戦となった。

園部は今年1月の全豪オープンジュニア女子シングルスで優勝し、日本女子として56年ぶりの四大大会ジュニア制覇を果たした新星。今月プロ転向を発表したばかりで、ツアー初勝利を挙げた勢いのまま格上のケニンに挑んだ。


第1セットは強気のストロークと鋭いリターンで主導権を握り、6-3で先取。だが第2セットではケニンが対応力を発揮し、園部の攻撃を冷静にいなしながら6ゲームを連取。1-6でセットを奪われた。ファイナルセットは互いにサービスキープが続く展開となり、最後はタイブレークでケニンが突き放した。


試合後、園部は「勝ちたかった。惜しかったので悔しい気持ちの方が大きい」と語り、会見中に涙を見せた。終盤に出たミスについて「最後、集中力は切れてないけど、相手の方がいいプレーをして、自分の簡単なミスが何本も出た」と振り返った。特にタイブレーク序盤のミスを悔やみ、「自分のサーブでいいプレーができていたら、結果は違っていたかもしれない」と話した。敗因として、ケニンとの経験の差も口にした。「緊張した場面で、相手の方が経験がある。自分は硬くなって、今までしなかったミスをしてしまった」と自己分析し、「経験が足りない」と冷静に受け止めた。


第2セットで流れを失った場面では、ファイナルセット前にトイレブレイクを取って気持ちをリセットしたという。「一度全部切り替えて、ゼロから集中し直した。それができたのは良かった」と振り返り、落ちかけたエネルギーをもう一度引き上げたことが大きかったと語った。ファイナルセットでは再びギアを上げ、強気のプレーで互角に渡り合った。


敗戦の中にも手応えを得た。「いいプレーができた時間帯も多かったし、きつい場面でも最後までファイトできた。マッチポイントでも自分から攻めていけたのは自信になる」と語った。


今後はITF大会などで経験を積みながら力を磨く方針だ。「これからは小さい大会でも今日のようなプレーを出せるように練習していきたい」と話し、来季の目標として「グランドスラム本戦で勝ちたい」と明確に掲げた。


ハードコートを得意とする17歳の挑戦は始まったばかりだ。