大阪に戻ってこられて本当にうれしい

大坂なおみ、故郷・大阪で新章へ 

テニスの木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス2025女子大会が10月13日、大阪・靱テニスセンターで開幕する。第1シードとして出場するのは、四大大会で4度の優勝を誇り、元世界ランキング1位の大坂なおみ。3歳ま大阪で過ごした大坂にとって、靱公園はテニスを始めた原点であり、2019年の東レ・パンパシフィックオープンで凱旋優勝を飾った思い出の場所でもある。


大坂は今大会について「過去に出場した大会とは異なるが、大阪に戻ってこられて本当にうれしい」と語り、この地でプレーできる喜びを表した。自身にとって特別なコートでのプレーに「たくさんのいい思い出がある。観客の皆さんに楽しんでもらいたい」とコメント。大阪を訪れるのは、2019年の優勝以来、妊娠期間中と中国遠征前の二度のみで、今回が久しぶりの地元帰還となる。


出産を経ての復帰は決して容易ではなかった。大坂は「出産後は自分の体の中に自分がいないような感覚だった」と振り返り、肉体面での再構築に苦労したことを明かしている。現在も体重調整や筋力強化に取り組みながら、より強い選手になることを目標に掲げている。近年はシェイプされた体と安定した動きが注目され、着実な進化を感じさせている。


今シーズンは1月に競技復帰を果たし、9月の全米オープンでは復帰後初の四大大会ベスト4に進出。自身は「優勝したかった」「少なくとも決勝に行きたかった」と語りつつも、手応えをつかんだ様子だ。昨年は怪我で大会に出場できなかったこともあり、健康な状態でプレーできる今を誇りに感じているという。シーズン残り2大会の目標は、自身のベストを尽くし、来年1月の全豪オープンに向けて良い流れをつくることだ。


プレースタイルにも変化が見られる。以前はパワーで押し切る攻撃的なテニスが持ち味だったが、今はより「ペイシェンス(忍耐)」を意識した構築型のプレーへとシフトしている。指導を受けるトーマスとのトレーニングによって、「これまで考えたこともないような発想」が生まれたという。フィットネス強化により、すぐにウィナーを狙う必要がない安定した基盤を得た一方で、「状況に応じて攻撃的にもなれるようにしたい」と語り、戦術的な幅の拡大を目指している。


注目の初戦は、ドロー抽選により、ワイルドカードで出場する17歳の園部八奏(IMG)との対戦に決まった。園部は今年の全豪オープンジュニアを制した新星で、今大会がプロデビュー戦となる。大坂は「名前は知らなかった」としながらも、新世代の挑戦を受ける構えだ。


故郷・大阪の地で迎える再起の舞台。母として、そして選手として新たな章を刻む大坂なおみが、どのようなテニスを見せるのか注目が集まる。

取材:KoheiMaruyama/SportsPressJP