日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)が、10月シリーズで背番号を「9」から「18」に変更した理由を明かした。幼少期から特別な意味を持ち続けてきた数字へのこだわりと、クラブで絶好調を維持する今の手応えを胸に、代表での戦いに臨む。
上田にとって「18番」は、単なる番号ではない。「9番はチームにとって意味のある番号であって、その責務を果たすためにやってきたけど、僕にとって意味があるのは18番」と語るように、自らの原点に結びついた特別な数字だ。そのルーツは父の存在にある。上田がサッカーを始めたきっかけは、父親が憧れていた元ドイツ代表ユルゲン・クリンスマンだった。「自分がサッカーを始めたきっかけが父に憧れてサッカーを始めたというところで」、「サッカーを始めてからずっと父の真似をして18番を着けてきた」と振り返る。
代表での番号変更については、「代表に入ってからずっと伝えてましたけど、ずっとお願いしていた」と明かし、長年の願いがようやく実った。「ようやく自分の欲しかった番号がもらえて、それを国と一緒に背負って戦えるっていうのはすごい僕にとっては特別」と語る言葉には、18番への深い想いが込められている。
過去に本田圭佑や大迫勇也、浅野拓磨らがつけてきた“出世番号”という見方については、「あの今の僕の話からすると関係ないです」、「そういう意味合いは僕には関係なくて。僕にとっては別に」と言い切る。彼にとって番号の価値は他者が決めるものではない。「僕はあんまりその一桁とかいわゆるいい番号にそこまで興味がずっとなくて」、「18番は引退するまで僕にとって一番特別だし、いい番号だと自分の中では思ってます」と、自分の信念に迷いはない。
フェイエノールトでは現在9番を背負っているが、「たまたま18番を着けている選手がいて、着けられない状態だったから」と説明し、「本当は海外でもずっとつけたいし代表でもずっとつけたかった」と打ち明けた。どこにいても、彼の中で18番は変わらず特別な存在だ。
今季クラブでは開幕8試合で8得点。エールディビジの得点ランキングでトップを走る。「2年間いろいろ積み重ねて、まあその結果と言いますか、今それが数字でようやく出てると思ってます」と手応えを語り、「その準備が今結果に繋がってると思ってます」と冷静に現状を受け止める。
この好調ぶりは代表にもポジティブな影響を与えている。「もちろん自分が結果が出てる分、自信持ってプレイできるし、それはいい方にここでも影響すると思ってます」と自信を見せつつ、「求められることだったりとか相手も違うしね、環境も違うし、コンディションもまた作らなきゃいけないんで」と慎重さも忘れない。クラブでの充実を糧にしながら、代表での新たな戦いへと準備を整えている。
一部で報じられたハムストリングの負傷については、「怪我してない」ときっぱり否定。「いい準備をするだけです」と言葉少なに次戦を見据えた。代表は2試合連続で無得点という状況だが、上田の視線はあくまで前を向いている。「3試合連続無得点は避けたいとは別に思ってなくて」と淡々と語り、記録よりも勝利のためのプロセスを重視する。「僕らは毎試合勝つためにやってるし、そのために僕は点を取るポジションで、点を取るために全力でやってる」と、エースとしての責任を言葉にした。
「次の試合どういう相手で、どういうディフェンスラインで、僕らがどういうふうに崩していくかっていうのを点を取るために考えて、それを結果に結びつける作業を毎回やってて」、「より多く、1点でも多く取ってチームを助けるのが僕の仕事だと思ってます」。
背番号18。父への憧れとともに始まったその数字は、今や上田綺世自身の象徴となった。クラブでの勢いをそのままに、特別な番号とともに日本代表のゴールを狙う。
取材:T.Nishikawa/SportsPressJP
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