困難な時代に万博が示した普遍的価値

大阪・関西万博、財政的成功と真の成果

 ~会場を飛び出し、未来に投じたメッセージ

2025年10月7日、日本国際博覧会協会は、大阪・関西万博が財政的にも国際的にも成功を収めたことを明確に示した。230億円から280億円に上る黒字の見通しが示され、関係者に安堵をもたらすと同時に、「分断の時代」に開かれた万博の真価と、その成果を未来へと繋ぐ道筋が示された。

黒字の見通しと使い道:成功の証を未来へ投資

万博が、会期序盤の懸念を乗り越え大幅な黒字を達成した背景には、会長が感謝を表明したように、2,200万枚を超えたチケット販売と、マスコットである「ミャクミャク」グッズの大人気という二つの要因が大きく寄与した。この利益は、単なる収益としてではなく、万博が訴えてきた価値を後世に伝えるためのレガシー投資に充てられる方針だ。会長は、黒字の使途として国際交流の促進、科学技術の発展、ヘルスケアといった万博のテーマに沿った分野を挙げ、その成果を「世代を超えて広く伝わるように」活用すべきだと強調した。この財政的成功は、万博の理念を継続的な事業として支えるための確固たる基盤となる。


困難な時代に結ばれた絆:会場を超えた成果と万博外交

万博の真の成果は、会場外にも広がった熱狂と、国際的な影響力にこそ見出せる。会長の報告によると、ミャクミャクグッズを身に着けたり、赤と青の万博カラーを楽しむ人々が大阪の町中にも増加し、万博が社会現象として広く浸透したことが示された。これは、単なるイベントではなく、人々の生活に親しみやすい形で溶け込んだ証だ。また、会場に訪れた子どもたちが「世界にたくさんの国があることを体感したり、命輝く未来社会の姿を想像したりする素晴らしい機会になった」という点は、次世代の国際理解と創造力を育むという教育的意義が達成されたことを意味する。国際面では、国内外から多くの賓客・VIPが来場し、「万博外交やビジネス交流が盛んに行われた」ことが強調された。これは、世界が分断の危機にある中で、万博が国家や企業間の壁を越えた対話のプラットフォームとして機能し、日本の国際的な役割を果たした証である。

レガシーと未来社会の実験場:リアルな体験とノウハウの継承

事務総長と会長は、この万博の意義が「リアルな体験」と「未来への問いかけ」にあったと口を揃える。バーチャルでは代替できない偶発的な交流こそが来場者の満足度を高め、大屋根リングは「多様でありながら一つ」という連帯のメッセージを人々に体感させた。また、万博のテーマは、未来社会の実験場として機能した。会長は、空飛ぶ車などの技術展示に加え、「科学技術と未来とどうやって向き合うか」という倫理的な問いが投げかけられたことを評価。事務総長は、輸送力に制約がある夢洲という立地で得られたデータ駆動型の運営ノウハウ(予約システムやキャッシュレスの徹底など)を、将来の国際イベントで活用できる「トランスファーできる資産」として位置づけた。


ハード面では、大屋根リングの一部(約200メートル)を残置し、万博の記憶を伝えるシンボルとする方針が決定。この有形・無形のレガシーの継承こそが、万博の未来に対する真の責任となる。


SportsPressJP 


SportsPressJP

Sports News Photo Media スポーツ ニュース