ヴィッセル神戸、延長戦の死闘を制し東洋大学を破る!

王者の意地と大学勢の快進撃

8月6日、ノエビアスタジアム神戸で開催された天皇杯JFA第105回全日本サッカー選手権大会のラウンド16(4回戦)で、J1首位を走るヴィッセル神戸がアマチュアシードの東洋大学と対戦。延長戦の末、2-1でヴィッセルが勝利し、4大会連続の準々決勝進出を果たした。東洋大学はJ1の柏レイソルとアルビレックス新潟を破る快進撃を見せていたが、王者ヴィッセル相手に一歩及ばず、4回戦で姿を消した。

一進一退の攻防

試合は開始早々、ヴィッセルが主導権を握る。前半13分、MF井出遥也が鋭い動きでゴールを決め、ヴィッセルが1-0と先制。ホームのサポーターが沸く中、東洋大学も負けじと反撃。36分、キャプテンDF山之内佑成が左サイドを突破し、センタリングをMF湯之前匡央が左足のダイレクトボレーでゴール右隅に叩き込み、1-1の同点に追いついた。また、東洋大GK磐井稜真も好セーブを連発し、前半は互角の展開で終了した。


ヴィッセルの猛攻と東洋大の粘り

後半、ヴィッセルは佐々木大樹や永戸勝也らレギュラーメンバーを投入し、攻撃の圧力を強める。後半7分、佐々木の決定的なシュートを磐井が右手一本で弾き出すなど、東洋大守備陣は集中力を保ち続けた。一方、東洋大もカウンターでチャンスを作り、10分にはMF荒井涼がゴール左を狙うもクリアされるなど、互いに決定機を逃す展開に。ヴィッセルは後半25分までに宮代大聖や扇原貴宏ら主力5人を投入し、猛攻を仕掛けるが、東洋大の守備は崩れず、90分間では決着がつかず延長戦へ突入。


劇的な決勝点

延長戦でも一進一退の攻防が続く中、試合の運命を分けたのは延長後半アディショナルタイム(120+1分)。ヴィッセルDF広瀬陸斗が右サイドから上げたクロスを、東洋大GK磐井がキャッチミス。こぼれ球に反応したFW宮代大聖がヘディングで押し込み、2-1の決勝ゴールを奪った。この劇的なゴールでヴィッセルが勝利を確定。磐井は試合後、涙ながらに「自分のミスでゲームを終わらせてしまい、応援してくれた人に申し訳ない」と悔しさを滲ませた。一方、ヴィッセルGK新井章太は磐井を激励し、「ここで終わりじゃない」と声をかけた。

歴史に刻まれた一戦

試合後、ヴィッセルの宮代は「最後まで諦めずに戦った結果」と勝利を振り返り、2連覇へ意気込みを見せた。一方、東洋大の山之内は「王者にここまで戦えたのは自信になる」と語り、チームの成長を強調。東洋大は天皇杯史上初のJ1チーム2連破という偉業を達成したが、3度目の“ジャイキリ”は叶わなかった。今回の試合はJ1王者と大学チームの意地がぶつかり合う歴史的な一戦となった。東洋大学の快進撃は終幕したが、その闘志は多くのサッカーファンに感動を与えた。ヴィッセルは王者の貫禄を見せつけ、次戦でのさらなる活躍が期待される。


取材:KatsuyaYabu/SportsPressJP