MotoGPスペシャルトークショーが7月25日(金) イオンモール北戸田(埼玉県戸田市)で開催された。現役日本人ライダーの小椋藍選手、國井勇輝選手、山中琉聖選手、日テレジータス解説陣の坂田和人氏、青木治親氏、そしてジャーナリストの遠藤智氏が登壇し、MotoGPの魅力やライダーたちの素顔について語った。
小椋藍選手(アプリリア)
予想外のフリートークとライダーたちの本音
イベント冒頭、MCから台本にないフリートークを振られたライダーたちは、戸惑いつつも本音を語った。「普段はイベントでショッピングモールに来ることが少ないので、多くの人の前で話すのは少し緊張します」と語ったのは國井勇輝選手。
國井勇輝選手 (イデミツ・ホンダ・チーム・アジア)
山中琉聖選手は「ファンを目の前にするとすごく嬉しいし、予想以上に興奮してくれていると嬉しい」と喜びをあらわにした。疲労について問われた小椋藍選手は「少し前に休めたので大丈夫」と話し、シーズン中の厳しいスケジュールを乗り切るための休息の重要性を示唆した。
山中琉聖選手 (MTヘルメッツ-MSI)
MotoGPとは?
トークショーでは、MotoGPを知らない来場者への配慮も忘れなかった。坂田和人氏が「分かりやすく言いますと、4輪の最高峰のレースがF1フォーミュラ1ですが、MotoGPはオートバイの2輪の世界選手権で世界最高峰のレース」と基本から説明。今年は18カ国で22戦が開催され、すでに12戦が終了している。残り10戦はアジアを中心に開催され、日本人選手の活躍が期待される。青木氏は、「各国から選抜されたライダーたちがシーズンを通してチャンピオンシップを争い、最もポイントを獲得したライダーがチャンピオンとなる。昨年、小椋藍選手がMoto2クラスでチャンピオンを獲得した」ことに触れ、その偉業を称えた。
ライダー「あるある」と負けず嫌い論争
ライダーたちの「あるある」話では、思わぬエピソードが飛び出した。國井選手は「一般道を走っていても、この車はどっちに行くんだろう?とか、周りの動きを必要以上に見てしまう」と、プロ選手ならではの観察眼を明かした。また、燃費走行を意識しているという意外な一面も披露。「目的地までにどれくらい燃費走行ができるか」を常に考え、発進時のガソリン消費まで気を配るという徹底ぶりだ。
会場を沸かせたのは、ライダーたちの「負けず嫌い」に関する議論だ。坂田氏は、登壇した3人のライダーはミニバイクに乗っていても絶対に負けず嫌いだろうと問いかけたが、國井選手は「負けたくはないですが、素直に負けを認める時もある」と発言。これに対し、青木氏は「負けるのを認めたから負けず嫌いではない、というのは違う。負けるのが悔しければ、それが負けず嫌い」と反論し、会場は笑いに包まれた。
遠藤シャッター2025夏:渾身の一枚
遠藤智氏による人気コーナー「遠藤シャッター2025夏」では、取材中に撮影した渾身の1枚が紹介された。 一枚目は佐々木歩夢選手と彼女のムエンダル・メルセデス・クリスティスさんのツーショット写真。遠藤氏は「日本人離れしたパフォーマンスをする歩夢選手が、表彰台で彼女とキスをする姿は、日本人カップルには珍しい光景」と話し、そのラブラブぶりを明かした。
佐々木選手について、國井選手は「昔から知っていて、速さはすごい分かる。ただ身長が小さいので、バイクが大きく見えて、すごく頑張ってるなと感じる」とコメント。山中選手は「最近一緒にサウナに行ったので、サウナ好きのイメージが強い」と意外な一面を披露した。小椋選手は「トレーニングの化け物。ひたすら体を動かしていて、ムキムキ」と、佐々木選手のストイックな一面を語った。
二枚目は古里太陽選手とメカニックチームの写真。遠藤氏は、古里選手が火曜日に日本に到着したばかりで、今日のイベントには間に合わなかったことを明かした。この写真には、古里選手を担当するメカニック全員が写っており、「チーム太陽」の絆を感じさせる一枚だった。
古里選手について、山中選手は「スタートがすごくうまい。後方からスタートしても1周目で前に上がってくるイメージが強い」と評価。國井選手は「太陽はちょっとぼーっとしている印象が強い。レースになればしっかりしているが、普段はたまに遅刻する」と、親しい友人ならではのエピソードを披露した。小椋選手は「ライダーとしてはかっこいいレースをする。自分から見ても、ライダーとしての性格が羨ましいと思う」とコメントした。
世界を巡るライダーたちの生活
年間22戦が行われるMotoGPシーズンにおいて、ライダーたちは18カ国を転戦する。國井選手は「好きな国はやっぱり日本。どうしても日本に帰りたい」と本音を漏らしつつも、現在住んでいるスペインのバルセロナがトレーニング環境も気候も良く、過ごしやすいと語った。
山中選手は、今年訪れていないものの、イタリアのベネチアが今まで行った中で一番綺麗だったと振り返った。小椋選手は、やはり日本が一番良いと語った。
レジェンドライダーの坂田氏、青木氏の時代は年間14~15戦だったという。坂田氏は、チャンピオンを獲得するとシーズン終わりに良い場所で表彰式があったことを懐かしそうに語った。青木氏は、現役時代はキャンピングカーでヨーロッパを回っていたと話し、時には片道3500kmもの道のりを運転して移動していたという。
現代のライダーの移動について問われた小椋選手は、2連戦の場合は飛行機と車を使い分けて移動していると語った。また、モーターホーム(移動式の家)を使うライダーもいるが、自身は極力サーキットから離れたいタイプなので、毎日ホテルに宿泊していると明かした。
MotoGP日本グランプリへの意気込み
MotoGP日本グランプリは9月28日に決勝レースが開催される。栃木県のモビリティリゾートもてぎで9月26日から28日まで開催され、小椋選手、國井選手、山中選手、そして佐々木選手、古里選手といった日本人ライダーの活躍を生で見ることができる唯一の機会だ。
最高クラスに上がって初めての日本グランプリとなる小椋選手は、「自分が納得できるレースができれば良い。レースが終わって、自分に情けなくならないように頑張ります」と意気込みを語った。
國井選手は、2年前の日本グランプリでMoto3クラス優勝を果たしており、「日本グランプリは良い印象がある。今年はまた話が違うので、頑張って見てください」と期待を煽った。
山中選手は、「日本でのレースは年に1回しかないガチな大イベントなので、勝ちたい気持ちしかない」と、地元グランプリへの強い勝利への執念を見せた。
※このトークショーは、9月15日(月)19時から日テレジータスで放送予定。
Photo:JunkoSato/SportsPressJP
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