長いトンネルを抜けたウェールズ

日本、惜敗で連勝ならず ウェールズが18連敗を止めた激戦──リポビタンDチャレンジカップ2025 第2戦(7月12日@ノエビアスタジアム神戸)


7月12日午後、神戸・ノエビアスタジアムで開催された「リポビタンDチャレンジカップ2025」の第2戦で、日本代表はウェールズ代表と対戦。かつて「ティア1」と呼ばれ、「ハイパフォーマンスユニオン」の1つに数えられた相手に5日の初戦で勝利し、連勝を狙った日本だったが、この日は後半の猛追も届かず、22-31で敗れた。一方、ウェールズにとっては、実に18試合ぶりの勝利となる貴重な白星となった。 

この日、蒸し暑さがこもる屋根付きスタジアムに2万5074人が詰めかけた。試合は序盤からウェールズが積極的にアタックを仕掛ける。前半9分、自陣からの展開でWTBジョシュ・アダムスが左サイドを鋭く突破し、先制トライ。続く28分には、敵陣深くでの連続攻撃からSHキーラン・ハーディが相手ディフェンスの間隙を突きトライ。さらに36分には、同じくハーディがラックサイドを突いてトライを重ねた。 


日本は24分、SO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)が40m超のペナルティゴールを沈め、3点を返す。さらに、前半終了間際にはスクラムで反則を誘い、テンポよくボールをつないだ末に、途中出場のPR竹内柊平がゴール前の密集から押し込みトライを奪取。ゴールも決まり、10-21で前半を折り返した。 


後半、日本は巻き返しを図り、開始早々からテンポアップ。9分にペナルティを与えて3点を追加されたものの、19分にラインアウトからのモールを起点に、FLワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)が押し込んでトライ。さらに26分には、CTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)が相手のパスミスを拾い、50メートルを独走してインゴールに飛び込んだ。2トライで一気に22-24まで詰め寄り、スタジアムはこの日最大の盛り上がりを見せた。 

しかしその後、ミスと反則でペースを失った日本は、自陣での連続ディフェンスを強いられ、35分にウェールズのSOダン・エドワーズにダメ押しとなるトライを許す。22-31と点差を広げられた日本は、終了間際まで相手ゴール前に迫るも、ウェールズの激しいタックルとブレイクダウンでチャンスをつぶされ、ノーサイドの笛を聞いた。 

この試合で日本代表は、前半途中にPR西川・HO堀越・PR中村といったフロントローを全員交代する異例の采配を見せた。試合後、エディー・ジョーンズHCは「この試合はテストマッチ。勝つことも重要だが、選手層を試す機会でもある」と語り、若手に経験を積ませる狙いもにじませた。また、日本代表主将リーチ・マイケルは「今日は勝てる試合を落としたのが非常に悔しい。ただ、若い選手たちは非常によく戦った。これを次の成長につなげたい」とコメント。一方、勝利に沸いたウェールズの主将デヴィ・レイクは「ついに結果が出た。この苦しい18試合の連敗を乗り越えて、チームは新たなスタートを切ることができた」と喜びをあらわにした。 


このシリーズは第1戦を日本が勝利、第2戦をウェールズが制し、1勝1敗のタイで終了。双方にとって収穫と課題が混在した意義深い2連戦となった。日本は今後、南半球勢との試合や秋の欧州遠征に向けてさらなるレベルアップが求められる。一方、ウェールズにとっては、長期低迷からの脱却に向けた確かな一歩となった。 


 取材:KatsuyaYabu/SportsPressJP