東アジアE-1サッカー選手権2025 日本代表メンバー発表記者会見
東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会(韓国開催)に向けた日本代表メンバーの発表記者会見が行われ、森保一監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが出席した。今回選出された26名は全員がJリーガーで構成された。
山本ナショナルチームダイレクターは冒頭で東アジア選手権について「歴史もあり、激しく感情がぶつかり合う熱い大会。非常に我々を成長させてくれてきた大きな大会」との認識を示した。日程調整について「非常に厳しい日程の中、関係各位、J1クラブの皆さんにご協力いただいた」とJFAやJリーグへの感謝を述べた。
今回の特徴的な取り組みとして、メディカルスタッフにガンバ大阪のトレーナーの参加や、4月5月のJ選抜活動で経験を積んだピサノ選手の成長を挙げた。「4月の活動に来ていただいて、その後から名古屋グランパスでポジションを奪い、ずっと今も出続けている中で、この数ヶ月でここにたどり着いてくれたことを非常に嬉しく思っている」と評価した。
森保監督は大会の目標について「優勝連覇というところを目指して大会に挑みたい」と明言。選手たちには「結果にこだわることはもちろんですけど、Jリーグを代表して今回日本代表ということでプレイをしてもらいますので、Jリーグそして国内の選手の誇りをもって戦いに挑んでもらいたい」と期待を込めた。また、「応援してくださる方々に日本人としての誇りを持っていただけるように、Jリーグの選手・国内組の選手として日本代表として戦いに挑みたい」と述べ、日本代表としての意識の高さを求めた。
チーム作りについては「これまでも招集したくてもなかなかこうできなかったような素晴らしい選手を今回また招集させていただくことができた」と説明し、「個々の成長とチームの成長が得られるように、また日本代表の底上げができるように、チーム一丸となって頑張っていきたい」と意気込みを語った。
ワールドカップに向けた意義
森保監督は「この大会の活動が、なかなかこれまで招集できなかった選手たちに多く来てもらい活動をさせてもらうことができる」と新戦力発掘の重要性を説明。「選手個々の成長と刺激になるように、そしてまた日本代表として来年のワールドカップ、チーム全体の選手層の厚み底上げになるように」と位置付けた。
さらに「Jリーグの代表として、この大会で選手個々が自分たちも本当にできるんだっていうところを、日本のサッカーの選手層は厚いんだというところをプレイをもって結果をもって示してもらい、大会が終わった後のJリーグで、またJリーグの魅力を多くの方々に伝え、そしてJリーグを盛り上げるよう刺激にしてもらえる大会になるように」とJリーグ全体への波及効果にも言及した。
ディフェンダーについて
ディフェンダーが6人という構成について、森保監督は「発表の仕方を工夫しなければいけないっていうところはある」と前置きした上で、「ディフェンダーとして起用できる選手もこの中にはいると思いますし、センターバックではないかもしれないですけどサイドであればディフェンスもしてもらえる選手たちにここには入ってもらっている」と説明。「3バックも4バックも3システム可能だというメンバーで構成をしている」と戦術的な柔軟性を確保していることを明かした。
ピサノ選手の抜擢理由
ゴールキーパーのピサノ選手について質問された森保監督は「まずは名古屋でレギュラーとして試合に出続けているということが基本」とレギュラーポジション確保を評価。「毎試合、我々が見てる試合の中でも彼の成長を感じさせてもらえるパフォーマンスで連続してチームの守護神として試合に出れている」と継続的な活躍を挙げた。他のゴールキーパーとの比較については「経験値としては他のゴールキーパーを選ぶということももちろん力としては選ばれてもおかしくない選手はいるが、これまでの彼の連続して試合に出ている、レギュラーとして試合に出ているというところからさらにこの大会を通して成長が見込めるということで伸びしろも含めて招集させていただいた」と将来性を重視した選考理由を説明した。
チーム作りの考え方
短期間での準備について質問された森保監督は「招集の考え方として我々がJリーグを視察してチームではなくて個々の特徴のある選手・力のある選手ということで選考をしている」と個人能力重視の選考基準を説明。「結果的にどこかのチームが多いか少ないかっていうことになっていると思いますが、まずは選考の基準としてチームとしてではなく、個人を見て候補選手をピックアップした中で最終的に絞り込んでいる」と明確にした。試合準備については「選手たちの日常の試合を見て集合から2日3日で試合をしなければいけないというのはずっとやってきた中で、彼らがどういうパフォーマンスをしてるか、どういう役割でプレイをしてるかというところを想像して初戦にはその組み合わせの中で、コンディションも見極める中で選手を起用して、2戦目以降はまた考えていく」と段階的なアプローチを示した。
経験豊富な選手の起用理由
ベテラン選手の起用理由について森保監督は、平均年齢が25歳代であることを示した上で「まずは高いレベルでパフォーマンスを発揮できている選手たちをピックアップする。その中でできれば経験値の浅い選手たちにこの経験をE1の経験をしてもらってさらに選手として成長してもらう」と基本方針を説明。一方で「チーム作りを考えた中でやはり勝つということが大きな目的・第一の目的でなければいけない。その中で必要だと思われるベテランの選手はチーム作りとして勝利の可能性を上げられるように」と勝利への責任も重視していることを明かした。 ベテラン選手の役割については「ベテランの選手たちがこれまでの経験を若い選手たちにプレイをもって伝えてもらって、またコミュニケーションの中から日本代表・日本の誇りでJリーグや海外で経験したことを伝えてもらうということを全体の成長としてやっていけるように」と教育的効果を期待した。
国内組選手の海外組との競争
国内組選手が海外組との競争で生き残るために必要な要素について森保監督は「今の現実の日本代表をフルで選ぶとなった時には、世界のトップレベルから日本代表を選ぶというぐらい、今世界の基準のトップ基準の中から代表を選ぶような時になっている」と現状を分析。その上で「国内組の選手たちにそこに選ばれるために必要なことは、今おっしゃられたようにJリーグの中で突出した結果を出すということと、突出した存在感を発揮すること」と明確な基準を示した。
若手選手への期待
若手選手については、宇野選手について「清水ではダブルボランチの1人として6番も8番もプレイできると、攻撃的にも守備的にもプレイできるということは一緒に組む選手との兼ね合いで臨機応変に中盤で攻守にわたってプレイに関われる」と評価。「より運動量多く中盤のダッシュ能力を生かしながら前線のチャンスに絡んでいくというところはこの代表チームの中で生かしてもらいたいと思っていますし、さらに中盤でアグレッシブに広範囲にボールを奪い取る・刈り取るというところはこの国際大会を通して上げてもらえるよう」と具体的な期待を述べた。
大関選手については「川崎ではレギュラーと言えるような起用のされ方ではないかもしれませんが、試合に出た時の存在感、ボールを受けるそこから前線のチャンスメイクに絡んでいくというところ、出し手にもなれば自分がフィニッシュにも絡んでいけるというところはこの代表のレベルでも戦力として十分できる」と能力を評価。レギュラーでない選手の選出については「レギュラーと同等の力を持ってるし、ACLエリートでの川崎の素晴らしい戦いの中で彼もレギュラーの1人として高いパフォーマンスを発揮していたことを見れば、代表としての戦力としてさらに今後の成長が見込めるということで招集させてもらうことが今の日本にとってそして未来の日本にとってプラスになる」と将来性を重視した理由を説明した。
中村蒼太選手については「非常に局面でのスピード感・アジリティ能力を活かして剥がしていくというところ、ゴールに向かってプレイできるというところをこの国際試合の厳しい戦いの中でも発揮してもらいたい」と攻撃面での期待を表明。守備面でも「前線から本当に激しく厳しく相手にプレッシャーをかけるという奪い・ボールを奪いに行くということも前線から献身的にやれる選手」と全体的な貢献を評価した。
ワールドカップ経験者への期待
長友選手について森保監督は「レギュラーの一角だとは思いますが、常にフルに出てるかというとそうではないかと思うが、2節前のマリノスとFC東京の試合を見に行った時に守備の部分で彼ほど前がタイトの選手はまだまだJリーグの中でもそう多くはないという中で本当に国際レベル・世界で戦う相手に対するプレッシャーの厳しさ・激しさっていうところは顕在であったところは確認はできた」と技術面を評価。さらに「彼が見せてくれる練習の中、オフザピッチでの姿勢と態度は全ての選手にとってさらなる成長につながるものであり、日本代表として大和魂と日本人の誇りを示してくれながらみんなのまた成長につなげてくれるものを持っている」と精神面でのリーダーシップを期待した。
上田選手については「今Jリーグでトップを走る鹿島で守備でチーム・守備からチームを支え、高さと局面では必ず弾き返せるというところ、そこから現代サッカーでも必要な守備の選手が攻撃の起点にもなるという部分、彼の特徴は守備だと思いますがその攻撃の部分もさらに自分の能力を上げていけるように」と守備を軸とした成長への期待を示した。
相馬選手については「今直近の試合で素晴らしいゴール・2ゴールを決めて、あるメディアの中では"戦術相馬"というぐらい攻撃の部分で突出したものをチームで発揮している」と現在の好調さを評価。「またワールドカップの経験者として海外で厳しい中、自分のポジションを掴み取らなければいけないという経験をしてきた中で、またここの国内組で戦うにあたって世界で勝ち抜いていく基準というものを示してくれる選手」と経験値の重要性を挙げた。
佐藤龍之助選手の連続選出
佐藤龍之助選手の連続選出については「6月の選考に、自チームに戻って実はその代表に選ばれた後が非常に厳しい戦いが選手の中ではある」と代表選出後の困難さを説明。「まずはチーム内で代表に行ったからどれだけのものを見せてくれるんだと短期間でそんなに多くのものが変わらない中でももう期待されるプレッシャーとチーム内のもう練習からチームメイトから受けるプレッシャーを乗り越えてそこでまたポジションを掴むということができている」と環境の変化への対応力を評価。「実際試合になった時には対戦する選手がこれまでと違った警戒心をもってそしてマークをかけ対戦してくる中、彼はその相手のプレッシャーもしっかりと受け止めながら自分がチャレンジしていくというところを出せている」と試合での適応力を高く評価した。
分析体制について
分析体制について山本ダイレクターは「我々のテクニカルスタッフと東大生そして筑波大学の学生の分析チームとチームとして仕事させていただき、そして後方支援をしてもらっている」と学生との連携を説明。「今回の活動の中で主に対戦相手の個々の特徴を我々のチームスタッフ・選手に伝えてもらえるようにサポートしてもらえれば」と具体的な役割を明かした。森保監督は「テクニカルスタッフの体制に関してはアジアカップでのトライから来年度の7月19日のニューヨークの決勝から逆算してその筑波のグループ・東大のグループそれぞれの研修も行いながら、我々の4人のスタッフを中心に今育成も含めてやっている」と長期的な視点での取り組みを説明した。
安藤選手の評価
アビスパ福岡の安藤選手について森保監督は「彼には誰にも負けないと思えるような武器があるという選手かなと思っています」と高く評価。守備面では「まずは守備の部分で言うと予測しながらの守備も非常に高いレベルであると思います。高さという部分でもJリーグの試合を見ていって対戦する相手が高さで勝負をこう仕掛けてきた時にそこに打ち勝っていけるだけの国際レベルでも十分に戦えるだけの能力があるということを見させてもらっています」と具体的な能力を説明。攻撃面では「足元の技術もしっかりあり後方からディフェンスラインからのビルドアップのパスだけではなく、後方から前線の攻撃に厚みをもたらすことができる持ち出しの技術も非常に高く素晴らしいものを持っている」と多面的な能力を評価した。 また、「育成年代の代表には以前選ばれたことがあってそこからずっと代表という舞台にはなかなかこう招集されない中でも地道に努力を重ねてそしてプロとしてもステップアップを着実にこうしてきて、トップのJ1というトップのレベルそして日本代表という日本のサッカーの中でのトップのチームに戦力として期待できるだけの力をこう培ってきた」と成長過程を評価し、「本当に多くの選手に地道に努力していくことでさらなるステップアップを夢見ることができるということを示してくれるかなと期待しています」と他の選手への模範となることを期待した。
システムと布陣について
スタメン予想について森保監督は「今週末の試合を見て決める」と明言を避けたものの、「システムとしては3バックで最終ラインで戦ってきたシステムをスタートとして考えていきながら、可変も含めて試合の中で別のプランを持っていけるようにしたい」と基本的な戦術方針を明かした。
キャプテンについて
キャプテンについて森保監督は「この26人全ての選手が自分がキャプテンだと、キャプテンをやらせてくれというぐらいそれぞれにリーダーシップを発揮してもらい、自分がチームに貢献するという思いをもって姿勢と態度に表してもらえればなと思っています」と全員リーダーシップを求めた。チームキャプテンについては「まだもう1節あるので何が起こるか分からないが、チームキャプテンとしては長友を考えたい」と長友選手を軸に考えていることを明かした。ゲームキャプテンについては「この3試合でできるだけ多くの選手を起用してで各試合に勝ち、そしてタイトルも取りたいと思っていますので、ゲームキャプテンはその時のメンバーの中で決めていきたいと思っています」と試合ごとの判断とする方針を示した。
森保監督は今回の東アジアE-1選手権について、優勝連覇を目標に掲げながらも、Jリーグ選手の成長と日本代表の底上げを重要な目的として位置付けた。26名全員がJリーガーという構成で、経験豊富な選手と若手選手のバランスを取りながら、短期間での準備という制約の中で勝利を目指す姿勢を鮮明にした。
0コメント