お互いのためにやる

清水建設江東ブルーシャークス、激戦制してD2残留決定

悪天候の海老名で狭山セコムラガッツを31-28で下す

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25のD2/D3入替戦第2戦が5月31日、海老名運動公園陸上競技場で行われ、清水建設江東ブルーシャークス(D2 7位)が狭山セコムラガッツ(D3 2位)を31-28で破り、ディビジョン2残留を決めた。

雨が一時強く降り、強風が吹く悪天候の中で行われた一戦は、両チームの意地がぶつかり合う激戦となった。グラウンド状態も悪く、難しいコンディションでの戦いを制した清水建設江東BSは、まさに総力戦での勝利だった。


成長の証明、チーム一丸の戦い

試合後、清水建設江東BSの選手は今季を振り返りながら語った。「前半に多くのチャンスがあったのに得点に繋げられず、相手に流れを渡してしまった。もったいないことだった」。精度の部分での課題は残るものの、この1年で築き上げた「チームの雰囲気(バイブス)」については絶対の自信を見せる。「この雰囲気はリーグワンでもトップクラス」。選手だけでなくスタッフを含む「ファミリー」として、過去2〜3年かけて築き上げてきたチームワークが、厳しい局面での原動力となった。

今季は怪我で離脱する選手が多く、控え選手が良いパフォーマンスでチームを繋いだ。「総力戦」となったシーズンを通じて、ディビジョン2で戦うには全員の力が必要だと痛感。それが「チーム全体の能力底上げ」への意識に繋がった。試合中は20分間を14人で戦う厳しい時間帯もあったが、全員が持つ「勝ちたい欲」と「お互いのためにやる」という相互の支え合いが、最後まで諦めない姿勢を支えた。


社員選手の誇り、スローガン体現

日中はフルタイムで働きながらラグビーに情熱を注ぐ社員選手たちにとって、この残留は特別な意味を持つ。プロップの野村三四郎選手と李優河選手は2試合連続でフル出場し、精神的な成長と妥協しない姿勢でチームを支えた。今季のスローガン「UP~Unit Pride~」が示すように、スクラムを始めとする各ユニットの積み重ねがチームの確かな誇りとなった。個々の役割遂行と全体の規律が、この勝利の土台となっている。


狭山セコム、昇格への課題を実感

一方、昇格を逃した狭山セコムラガッツだが、この入替戦は大きな財産となった。キャプテンの飯田光紀選手は「コンタクトレベル、アタックスピード、ブレイクダウンの質」でディビジョン2との違いを痛感したと語る。フィジカルの強さは「ケタ違い」だったが、試合中は自分たちの力が通用するという感触もあった。武器であるディフェンス力には手応えを感じており、第1戦でのディフェンスは今季最高レベルだったという。清水建設江東BSからも「ディビジョン2でプレイするに値するチーム」と高く評価された狭山セコム。入替戦にかける強い気持ちが「全面に出ている」チームとして、相手チームからも敬意を表された。


来季への展望

清水建設江東BSは前半終了間際と後半立ち上がりの失点という課題を残しながらも、この入替戦の経験を糧に「より良い結果を求めていく」意欲を示している。チーム全体の成長と、個々の能力向上が来季のカギとなりそうだ。悪天候という厳しいコンディションの中で繰り広げられた熱戦は、両チームにとって忘れられない一戦となった。清水建設江東ブルーシャークスのディビジョン2残留は、まさにチーム一丸となって掴んだ勝利だった。


取材:AtsuhikoNakai/SportsPressJP