ブラインドサッカーを多くの方に知ってもらって、見てもらって、身近に感じてもらいたい

2025年5月25日、「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」の最終日が行われ、男子カテゴリーの決勝戦で日本代表がアルゼンチン代表と対戦。アルゼンチン代表が第1ピリオド19分にフロイラン・パディージャ(背番号4)、第2ピリオド2分にオズワルド・フェルナンデス(背番号8)が得点、0-2で日本を下して優勝となった。


■川村怜キャプテン

試合後の会見で川村怜キャプテンは、「グループリーグでのアルゼンチン戦では狙い通りの戦いができた。アルゼンチンの国民性を考えると、同じ相手に2度負けることはプライドが許さないと選手たちも思っていたし、我々もそれを知った上でプライドを持ってさらに上回って戦おうという意識で挑んだ」と語った。しかし結果は厳しいものとなった。川村キャプテンは「走り勝つところと競り勝つところ、ルーズボールの回収で勝ち切れなかったところが失点につながった。競り合いとルーズボールの回収で非常に課題を感じた」と分析した。

試合序盤はゴールスローがなかなか合わず苦戦したが、「お互い要求し合って冷静に改善できた」という。一方でアルゼンチンの組織的なディフェンスと南米らしい激しいプレースタイルに苦しめられた。「南米はサッカーの球際に対する強度が非常に高い。こういった中でしっかり相手をはがしてシュートまでいけるようにしていかないと、強豪国相手に勝利するのは難しくなる。今日体感したことをチームに持ち帰って、世界基準で基準を上げて普段の練習から選手同士求めていきたい」

1点目の失点について「壁際の競り合いで2人行っているが、相手1人にはがされてしまった。4人の間にボールを転がされ、そこを寄せきれず、ボールを拾いきれなかった」

フィジカル面での課題も浮き彫りになった。「競り合いでしっかり勝ち切る体作りも必要だし、強さも必要。ボールを拾う能力ももっと高めなければいけない。小さなミスが続くと失点やピンチにつながるので、カバーできるようなチーム力を上げていきたい」


今大会は新メンバーを含む新体制での戦いだった。川村キャプテンは「フレッシュなメンバーが揃って正直不安もあったが、これまでのベテラン選手たちが退いた中で、齊藤選手や平林選手など強みを持ったタレントが選ばれている」と新チームへの手応えを語った。 特に齊藤選手については「最終ラインで体を張ってくれたし、ピッチ外でもサッカーの話をよくするので非常にいいチーム」と評価した。 


決勝戦では多くの観客から「日本コール」が湧き上がった。川村キャプテンは「去年1年目で初めて味わいましたけど、また更に今年これだけの多くの方に見ていただいて、わざわざ見に来てくれた方もいれば、通りかかってたまたま見に来てくれた方もいると思いますけど、本当にブラインドサッカーという競技を多くの方に知ってもらって、見てもらって、より身近に感じてもらえることが僕たちにとっては非常に嬉しいですし、また見てもらえた時に僕たちとしては本当に最高のパフォーマンスをして皆さん驚かせたいっていう思いは強いので、自分たちは日々のトレーニングで最高の準備をしてこういった試合の中でパフォーマンスを発揮することが、もっともっとブラインサッカーが発展していく、普及していくことに繋がっていくのかなとは思ってます。」 


 大会を通じて選手間の実力差が明確になったことについて、川村キャプテンは底上げの重要性を強調した。 「こういった大会でいろんな試合を経験することが選手にとって一番大事。ピッチに立って肌で体感することが必要だが、それができなかったのもチーム力の問題。試合に長く出た選手たちが日々の練習でしっかりパフォーマンスを発揮し、出場時間が短かった選手たちにも刺激を入れたい」 

今回得た世界基準を日常に持ち帰り、選手同士が要求し合いながら来年のアジア選手権優勝という目標に向かって切磋琢磨していく決意を示した。 準優勝という結果に終わったものの、新体制での課題と可能性を確認できた大会となった。世界基準との差を埋めるための具体的な方向性が見え、来年のアジア選手権に向けた土台作りがスタートする。 


取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP