2025年5月22日、「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」大会5日目にて、男子日本代表が準決勝でタイ代表と対戦し、1-1からPK戦の末に3-1で勝利。5月25日に行われる決勝戦へと駒を進めた。相手は強豪アルゼンチンとなる。
©︎Haruo.Wanibe/JBFA
私とゴールで「ゴール全体」で守った
この試合で鍵を握ったのは、GK神山昌士。PK戦では冷静な対応で相手のシュートを止め、チームを勝利へと導いた。事前の情報はなく、「予測せず、自分の反応を信じて」とのキーパーコーチの助言を胸に臨んだという。2人目のキッカーに対しては、蹴られる直前に左へ来ると察知し、見事にセーブ。ボールがバーに当たったことで得点を防げたことに安堵と喜びを感じたと振り返った。
お客さんの歓声は「最高だった」
この日、「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」で行われた男子準決勝。熱戦を繰り広げるピッチの周囲には、ブラインドサッカーを初めて観る観客の姿も多く見られた。歓声とどよめきが、選手たちのプレーに合わせてピッチを包む。見えない世界で闘う選手たちにとって、その熱気は確かな手応えとして伝わる。
神山は「お客さんの歓声は最高だった。まずは見てくださった方が、ブラインドサッカーを認知している方も認知してない方も、こうやって一緒に一体感となって盛り上がれることは、本当に、ブラインドサッカー冥利、選手冥利に尽きる」と語った。
歓声は、見えない選手たちにとって“共有”できる何かであり、形にならない“財産”だという。「選手たちと一緒にそれを共有できたことが、見えない選手にとってはすごく財産であったり、私にとっても次につながる、いい財産であったり、ステップアップになる」
「音」の世界で闘う彼らにとって、観客の存在は単なる背景ではなく、一つの“共演者”とも言える。反響する音、感じる熱、そして伝わる感情。視覚情報が制限される中で、それらが選手たちのプレーに確かな“輪郭”を与える。
「選手冥利に尽きる」という言葉には、自身のプレーへの誇りと、観客とともに創り上げた舞台への感謝が、力強く、そして素直に込められていた。
取材:TomoyukiNishikawa/SportsPressJP
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