車好きの皆さん、一緒に未来を作りましょう! モリゾウ

TOKYO AUTO SALON 2025 プレスカンファレンス
TOYOTA GAZOO Racing


TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、東京オートサロン2025でプレスカンファレンスを開催した。当初、このプレスカンファレンスにはモリゾウこと豊田章男氏本人が登壇する予定だったが、モリゾウ氏はアメリカでのウーブンシティ発表から急遽帰国したものの、体調不良のため、登壇を見送ることとなった。代わりに、モリゾウ氏の想いを引き継ぐ「車好きおじさん」たちがプレスカンファレンスの代役を務めることになった。


プレスカンファレンスは、モリゾウ氏が選んだ「2025年重大ニュース」の発表という形式で進められた。モリゾウ氏自身が選んだ、今年起こるであろう10個のニュースがランキング形式で発表された。第10位として発表されたのは「モリゾウ氏の夢のガレージをオートサロンで実現」というニュースだった。これは、モリゾウ氏が子供の頃に憧れた旧車を展示し、当時のモリゾウ少年を再現したというものだ。会場には、モリゾウ氏が幼少期に「自分のガレージにあったらいいな」と夢見た様々なメーカーの旧車が並べられ、61年前の7歳のモリゾウ氏の姿も展示された。この展示は、モリゾウ氏の原点とも言える車への愛情を象徴するものであり、来場者に懐かしさと共に、車への夢を抱かせるものとなった。


続いて発表された第9位から第5位では、「たくさん車を運転する」「未発表」「ルーキーレーシングがスーパーGTでチャンピオンになる」「大島和也がスーパーフォーミュラで涙の表彰台に立つ」「例年以上にたくさんの車を運転する」という内容が明かされた。特に第6位の大島和也の表彰台については、大島選手自身も「期待に応えたい」と強い意気込みを語り、これまでの苦労を思い返すと、表彰台では必然的に涙があふれるだろうと語った。


第4位として発表されたのは「ニュル24時間レースをGRヤリスで完走、モリゾウ男泣き」というニュースだった。2019年以来となるニュルブルクリンク24時間レースへの復帰と、モリゾウ氏自身がドライバーとして参加する可能性を示唆する重要な内容となった。ニュルブルクリンクは、モリゾウ氏にとって特別な場所であり、2007年には成瀬さんと共に参戦、2019年にはコロナの影響で一旦離れていたが、再び挑戦することが明らかにされた。


第3位は「TGRR誕生」という、モータースポーツ界に大きな変革をもたらすニュースだった。これは、TGRとモリゾウ氏が立ち上げたプライベートチームであるルーキーレーシングが統合し、新たにTGRRとして参戦するという内容だ。この統合の背景には、モータースポーツを通じて「もっといい車作り」を追求したいというモリゾウ氏の強い思いがあった。モリゾウ氏は、ニュルブルクリンクへの参戦当初、会社からトヨタの名前を使うことすら認められなかったが、10年の歳月を経てようやくトヨタの名前が使えるようになったと語った。しかし、ワークスとして活動する中で、モータースポーツの現場での「もっといい車作り」という大切な気持ちが薄れていってしまったと感じ、一度トヨタから離れてルーキーレーシングを立ち上げることになった。


第2位は「2000ccエンジンが走り出した」というニュースだった。これは、昨年モリゾウ氏が「エンジンを作り続けましょう」と宣言した2000ccエンジンの開発が着実に進んでいることを示すものだった。モリゾウ氏はこのエンジンについて「とにかく戦闘力だ」と語り、その性能に強い自信を示した。プレスカンファレンスでは試作品も公開され、「どこかでその戦闘力を発揮するレースを見てみたい」というモリゾウ氏の言葉が、このエンジンの近い将来のレース参戦を予感させた。


そして最後に発表された第1位は「ミッドシップが走り出した」という衝撃的なニュースだった。GRヤリスをベースにしたミッドシップレイアウトの車両開発が明らかにされ、自動車業界全体を驚かせた。通常のGRヤリスはフロントエンジンだが、この車両はエンジンが運転席の真後ろ、つまり車軸の近くに配置されている。ミッドシップレイアウトによって、旋回時の運動性能を向上させ、よりシャープなハンドリングを実現することが可能となった。搭載されているエンジンは2.0Lで、4WDの可能性も示唆された。このミッドシップGRヤリスは今後レースにも投入される予定だという。


この発表は、会社からのストップがかかっていたにも関わらず、モリゾウ氏が「車好きの皆さんに自分から話したい」という強い意志で実現したものだった。プレスカンファレンスでは実車が公開され、その斬新なデザインとレイアウトに、会場からは大きな驚きと歓声が上がった。


プレスカンファレンスの最後には、これらの重大ニュースを深掘りするトークショーが後日開催されることも告知され、モータースポーツファンの期待を高めた。また、モリゾウ氏へのメッセージとして、会場全体で手を振る場面があり、彼の早期回復と現場復帰を願った。さらに、自動車産業を盛り上げたいという思いを胸に、フォトセッションが行われ、プレスカンファレンスは幕を閉じた。


今回のプレスカンファレンスは、モリゾウ氏の熱い想いと、トヨタがモータースポーツを通じて「もっといい車作り」を追求する姿勢を強く示すものとなった。特に、ミッドシップGRヤリスの開発は、今後のトヨタのスポーツカーの方向性を示す上で重要な出来事であり、モータースポーツファンだけでなく、自動車業界全体にとっても大きな注目を集めることだろう。


モリゾウ氏が語った「エンジンにはまだまだ役割がある」という言葉は、今回のプレスカンファレス全体を貫く重要なメッセージとなった。また、「車好きの皆さん、一緒に未来を作りましょう!」という言葉には、モリゾウ氏の車に対する情熱と、ユーザーと共に未来を切り開いていきたいという強い思いが込められていた。これらの言葉は、単なるスローガンではなく、モリゾウ氏自身の行動と、トヨタの今後の方向性を表すものとして、参加者の心に深く響いたと言えよう。



Photo by HiroshigeSuzuki/SportsPressJP 

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