体調崩した結果、気持ちを病む必要がなくなった

渡辺倫果 選手 

全日本フィギュアスケート選手権を前に、渡辺倫果選手が練習後に心境を語った。試合会場での滑走感触について「すごく比較的滑りやすくてジャンプも浮きやすい」と手応えを口にし、ショートプログラムへの好感触をうかがわせた。


しかし、直前の体調面では波乱があった。「先週に体調を崩してしまって、咳がちょっと止まらない」と明かし、「熱39度ぐらいまで出て」と振り返った。ただし「インフルでもコロナも両方陰性だった」とのことで、原因は特定されていない。「木曜日熱が出て、1、2週間くらい咳が長びいている」という状況ながら、「すごく元気にはやっている」と前向きな姿勢を見せた。


ショートプログラムの構成については慎重な判断を下した。「調子を見てもショートからダブル入れても問題ないレベルまで上がってきている」と自身とコーチ陣で判断したものの、「ショートはなるべく本当に出遅れないようにしていきたい」という思いから、「ダブルアクセルでちゃんと安定していきたい」と決断。「ショートはダブルでアクセルフリー1本構成でいこうと思ってます」と語った。


先の中国での大会での経験が、今回の全日本への準備に良い影響を与えたようだ。「中国ですごくアクセルがいいイメージを日本に持って帰ることができた」と語り、それ以降の「練習すごくやりやすかった」と手応えを感じている。


全日本を前に「思い詰めることとかっていうのはあった」と率直に認めながらも、皮肉にも体調を崩したことで心理面での変化があったという。「体調崩した結果気持ちが病む必要がなくなった」と語り、「すごく落ち着いて明日からできれば」と、これまでにない心境で大会に臨む姿勢を示した。


渡辺選手は、体調面での不安を抱えながらも、滑走感覚の良さと気持ちの落ち着きを武器に、この重要な大会に挑むこととなる。慎重に選択された演技構成と、中国での経験を活かした練習の積み重ねが、どのような結果につながるか注目される。