齊藤工氏 文化庁長官表彰を受賞

俳優・齊藤工が発案した移動映画館「cinéma bird」が、令和6年度文化庁長官表彰を受賞。2014年の東日本大震災被災地での初開催以来、映画館のない地域や被災地を中心に、お寺や体育館などを一日限定の映画館に変える活動を続けてきた。


表彰は、被災地や映画館のない地域に「映画×ライブ」の劇場体験を通じて、人と人をつなぐ文化芸術活動を評価したもの。齊藤工は、震災後に被災地の人々の声に耳を傾け、娯楽を通じて心の癒しを届けたいと考えたプロジェクトの原点を語った。

宮城、福島、熊本、北海道、石川、愛媛など、さまざまな地域で活動を展開。コロナ禍には医療従事者を対象としたドライブインシアターや、空港職員を招待する特別上映会も実施。2024年は能登半島地震や平成30年7月豪雨の被災地でも映画体験を提供した。


「鳥のように、自由で、軽快で、柔軟に」

齊藤工「プロジェクトの起源は東日本大震災でした。俳優の私に何ができるのかと、とても歯がゆく苦しい思いをしていて。ですが、被災地の方々に耳を澄ませてみると、必要な物資はある、でも、娯楽というものに、その瞬間だけでも心を委ねたいーーそうした言葉が聞こえてきました。その言葉を受け、小さな規模から始めて、今年で10年経ちます。このプロジェクトは、私自身が皆さんに心を満たして欲しいというもので、いわば私にとってのライフワーク。このような厳かな場所に呼ばれていいのかと思いましたが、ここにいる素晴らしい先輩方が、人生を賭けて打ち込まれてきた文化・芸術を継承してくださったおかげなので、私も胸を張って列席させていただきたいと思いました。cinéma birdは鳥のように自由に、軽快さ、そして柔軟さというものを常に持って開催しています。地元の皆さんにも、このようなプロセスで出来るんだ、ということを伝えることができれば、そして、エンターテインメントという“ハブ”が全国、特に被災地に広がればと心から願っています。好奇心とたくさんの感動を覚える空間がcinéma birdの醍醐味。本日のこの受賞を励みに、この活動を長く続けていきたいと強く決意しました。本当にありがとうございました。」


文化庁から高く評価されたcinéma birdは、SDGsの実現と地域に根ざした持続可能な文化芸術活動のモデルケースとして、日本全国に感動の劇場体験を届け続けている。