栃木シティFCは、11月17日 JFL第29節でアトレチコ鈴鹿に6-0で勝利し、初のJFL優勝を果たした。条件だったホーム1試合平均入場者数2000人も満たし、来季のJ3参戦が確定した。
◆栃木シティFCのスピード昇格の要因
栃木シティFCが地域CLを勝ち上がった後、わずか1年でJFLを制覇しJ3昇格を決めたことは、JFLのレベルの高さを考えると驚異的だ。積極的な投資とクラブ改革、地域密着と貢献活動、熱狂的なサポーター、大栗崇司氏の強力なリーダーシップ。これらが複合的に作用し、栃木シティFCはJFLという厳しい環境を乗り越え、スピード昇格を成し遂げることができたと考えられる。
◆厳しいJFLを1年で駆け抜けた驚き
下位リーグでは、他の仕事をしながら限られた時間の中で練習や試合に励んでいる選手も多い。人生をかけてハングリーな状況で戦っており、厳しい競争の中、プロサッカー選手としての夢を追い続けている。栃木シティFCのスピード昇格は、下位リーグで戦う多くの選手たちに希望を与えるとともに、サッカー界全体の活性化にも繋がるだろう。
◆Jリーグ昇格を目指す熱きクラブ
栃木シティFCは、栃木県栃木市を拠点とするサッカークラブ。クラブの歴史は古く、1947年に日立栃木サッカー部として創設されたのが始まり。 その後、栃木ウーヴァFCと名称を変え、2010年から2017年まではJFLに所属していた時期がある。2013年にはJ3参入を目指し、Jリーグ準加盟を申請したが、認められなかった。しかし、クラブは諦めることなく、2018年に大きな転換期を迎える。日本理化グループの代表がクラブの代表に就任し、選手契約を原則プロ契約に変更、大型補強を実行するなど、積極的な投資を開始。さらに、クラブ名を現在の栃木シティFCに変更し、新たなスタートを切った。
◆強固な基盤:充実した施設と地域貢献
栃木シティFCは、Jリーグ昇格に必要な環境整備にも力を入れてきた。2021年には、栃木市内の運動公園に「シティフットボールステーション」が完成。5000人収容のスタジアム、大型ビジョン、全席背もたれ付きのメインスタンドなど、J3参入にも対応できる充実した施設を誇る。さらに、サブグラウンドやクラブハウスも完備し、練習環境も充実している。廃校となった校舎を利用し、スポーツに特化した専門学校を開校するなど、地域貢献にも積極的に取り組んできた。地元に密着したクラブ運営は、多くのファン・サポーターから支持を集めた。
◆J3昇格へ:熱い戦い
栃木シティFCは、2024年シーズンも好調を維持し、J3昇格の条件である「JFLで2位以上」と「ホームゲームの平均入場者数2000人以上」を達成。ファン・サポーターもJ3昇格を熱望し、ホームゲームには多くの観客が詰めかけた。スタジアムは熱気に包まれ、選手たちを後押してきた。
◆グラスルーツの体現
JFA(日本サッカー協会)は「JFAグラスルーツ宣言」の中で、「Football for All サッカーをもっとみんなのものへ。」というスローガンを掲げ、誰もが、いつでも、どこでもサッカーを楽しめる環境の提供を目指している。地域に根ざしたクラブ運営と、それを支える熱狂的なサポーターの存在。地域リーグから這い上がり、わずか数年でJリーグの舞台にたどり着いた彼らの道のりは、まさにJFAが掲げる「グラスルーツ」の理念を体現するものといえる。
◆今後の展望
栃木シティFCは、Jリーグ昇格という大きな目標を達成するために、日々努力を続けてきた。充実した施設、熱心なファン・サポーター、そして地域からの熱い期待を背に、さらなる飛躍を目指している。J3昇格は、クラブにとって新たな章の始まりとなるだろう。
Photo by Suzuki Hiroshige / SportsPressJP
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