相手ではなく自分たちに狙いをもって戦った

26日、国立競技場で日本女子代表(なでしこジャパン)が韓国女子代表と対戦し、4-0で勝利を飾った。ベスト8で終えたパリ五輪後の初戦で、佐々木則夫女子委員長が監督代行を務める中で、課題も残ったが“切り替えと展開の速さ”は新たな“なでしこジャパン”の指標を示した一戦でもあった。


■佐々木則夫監督代行

短期ではあったが、選手、スタッフを含め新たなスタートを切るにあたり、なでしこジャパンの指標になるようなサッカーをトライしようということで、相手ではなく自分たちに狙いをもって戦ってくれた。もちろん連係がしっくりこないところはあったと思うが、選手は90分間、そういった意識をもってトライしてくれたと評価している。

国立競技場という良い雰囲気の中でコーチャーズボックスに立たせてもらい、自分が監督を決められず、こういった立場になったが、そうは言っても新たななでしこジャパンがスタートする中で今後に向けて進むイメージや目標に少しでも近づく、その経験を次の監督にバトンを渡し、彼女たちであればワールドカップ、そして五輪で、皆さんの期待にそえるチームになると思っている。この日、65%ぐらいはできたかもというところで、1年1年積み上げてもらい、次のW杯には期待のそう結果を出してくれることを信じている。

控えに回った選手はどちらかと言えば経験が浅い。そして国立という舞台の雰囲気の中でスタートした中で、いきなりノッキングするのは困るので安定したメンバーでスタートし、次に経験の浅い選手を投入していくイメージでゲームプランを立てていた。また点数がどういう状況であれ、一人でも多くピッチで体験をさせて良い結果で終わりたいところを考えていた。ボールを失った瞬間の切り替えの速さ、そして奪った瞬間に速いアクションをする、ダメであればボールを動かすリズムの切り替え、そういったところをポイントとした。守備においては反省が多々あった。3ラインの中で連係して高い位置で取れれば。取れなかったとしても、ミドルゾーンの中では取れていた傾向はあると思う。何とか高い位置で奪って攻撃的な守備がもう少し展開できればという部分はあった。

4点目はボールを奪ってからの展開で、谷川選手が決めたような、攻守の切り替えが速く良い形だったと思っている。2点目も切り替えと展開の速さで非常に良い指標になったと思っている。

1万2千人が来場してくれたことは感謝しているが、もっと結果、成果を示さないと、まだ反応は鈍い。もっと積み上げて国立で試合をした時には3万を超えるぐらいのチームにならなければいけない。女子サッカーをけん引する私としても、今後、上げていかなければと切に思っている。

20代前後の選手たち、彼女たちのみならず質の高い選手が少女時代からサッカーをやってくれてアンダー世代でも活躍してくれている。それを踏まえなでしこジャパンでも堂々とプレーできるような状況になっている。今後の将来についても可能性のあるなでしこジャパンに成りえると思っている。トレーニングマッチにおいては、出ていない選手たちは、経験とプレーしてきたことを表現して欲しい。その中でもミックスして良いプレーをさせたい。ただでは帰さない(笑)。


内田コーチが結構、セットプレーを担当していて、その意味ではデザインされたブロックをした形で前をフリーにした状況で長谷川選手の良いボールでもあったし、まさか北川選手が入ってきたことを自分は知らなかったが、タイミングと内田コーチの攻略のおかげだと思っている。

山下選手はこれまで主軸として色々な経験をしてきた。精神的な重責をプラスアルファの中でプレーさせることも彼女のステップアップへのきっかけになって欲しいし、後ろでコントロールしている彼女に言葉で表現する経験を積ませたいと思った。結構、喜んでいた。役目を果たしてくれていたと思う。

4-4-2は状況を変えやすいということで取り組んだ。4-1-4-1で前線を厚くして守備をしようとトレーニングもしてきた。3バックの準備はせず4-4-2を中心に準備をした中で、どれだけできたかを検証にかけようと思っていた。2人についてはシンプルに動かして裏を突くという意味では、スピードとパワーのある清家選手の方が1.5列目から抜けた方がいいと。藤野選手のワイドについては前半途中から変えようと思っていた中で、タメを作りたいと思った中でのシフトチェンジだった。

前線からの守備でも勇気と元気をもっていこうとしたが、中々、タイミングが計れなかった。アプローチしていたが空いてしまうところが嫌だと思っていた。もっとラインコントロールしながら前線から2度追いもありつつ、ラインを保ちつつ積極的なコレクティブな守備をしなければという反省はある。

インターナショナルマッチデーがあり、代表活動がベースだが、その中でスケジュールを組んで、今、海外でもやっていない訳ではあって、お互いに共有しながら反省しなければいけないところ。(WEリーグの)カップ戦だからいいという訳ではなく、自分も3分の1ぐらいは反省しなければいけないところ。インターナショナルマッチデーでもあるので、海外のみならず日本国内でもあるので、お互いに共有感をもって日程を決めていかなければいけないと思っている。


取材:石田達也

編集:Tomoyuki Nishikawa/SporstsPressJP

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